FRPとウレタン、どちらの防水が長持ちする?耐久性比較を解説
2025/12/22
「ベランダや屋上の防水工事を考えているけど、FRPとウレタン、どちらが本当に長持ちするの?」
そんな疑問をお持ちではありませんか。
実際、どちらも住宅用防水の代表格ですが、特徴や耐久性、費用、メンテナンス性には明確な違いがあります。
この記事では両工法の特徴から、選び方のポイント、注意点まで詳しく解説します。
最適な防水工事を選ぶための参考にしてください。
FRP防水・ウレタン防水とは?|特徴と選ばれる理由
FRP防水の特徴と活用シーン
FRP防水とは、「ガラス繊維マット(FRPシート)」に液状のポリエステル樹脂をたっぷり染み込ませ、硬化させることで非常に強靭な防水層を形成する工法です。
仕上がりはまるで硬質プラスチックのようにカチッと固く、表面もとても滑らかで美しくなります。
この硬さと耐摩耗性の高さから、ベランダやバルコニー、さらには戸建ての小規模屋上など「日常的に歩行や物の移動が多い場所」で非常に高く評価されているのです。
また、FRP防水は一体成型なので継ぎ目がなく、水の浸入リスクを極限まで減らせるのも大きな魅力となっています。
「防水工事=FRP」というイメージがあるほど、近年の新築住宅でも広く採用されています。
ウレタン防水の特徴と活用シーン
一方、ウレタン防水は「液体状のウレタン樹脂」を何度も塗り重ね、柔軟で弾力のある一体防水層をつくる工法です。
最大の特徴は、その柔軟性と密着性にあります。
FRPのように硬化してしまうタイプとは異なり、ウレタン防水は建物の微細な動きや振動にも追従しやすく、形状が複雑な場所や段差・配管周りなどにも隙間なく施工できるのです。
このため、戸建て・マンション問わず屋上・陸屋根・大規模なバルコニーや複雑な下地など、さまざまなシーンで幅広く選ばれています。
さらに、下地の種類を選ばず改修もしやすいので、「防水リフォームの万能選手」のような存在です。
FRPとウレタンの「耐久性」はどう違う?
FRP防水の耐久年数と強み
FRP防水の一般的な耐用年数は12〜20年ほどとされます。
紫外線や摩擦、雨風にも強く、傷やひび割れも生じにくいというメリットがあります。
数年ごとのトップコート再塗装など、最小限のメンテナンスで長期間美観と機能を保てるため、「とにかく長く持たせたい」「日々歩く場所」という方には特におすすめです。
ウレタン防水の耐久年数と特徴
ウレタン防水の耐用年数は10〜15年程度が目安です。
ただし、建物の揺れや下地の微細な動きにも柔軟に追従するため、地震や振動の影響を受けやすい建物や、複雑な形状の場所でも安定した防水性を保ちます。
広い屋上や段差の多い場所、配管周りにはウレタンの方が優位な場合も多いでしょう。
メンテナンス性・修繕のしやすさ
FRP防水のメンテナンス性|トップコートの再塗装として
FRP防水の最大の強みは、「表面のトップコートを定期的に塗り替えるだけで、美観と防水性能を長期間維持できる」という点にあります。
トップコートとは、FRP防水層を紫外線や摩耗から守る“保護塗膜”のこと。
数年ごとの再塗装をきちんと行えば、日常的な劣化や色あせ、多少の擦り傷も補修でき、防水層本体の寿命を大きく延ばせます。
ただし、下地の動きが大きい場所や、施工時の密着不良がある場合は注意が必要です。
FRPは硬くて丈夫な分、構造の動きや地震などの振動が加わると、層間に浮きや剥がれが発生しやすいという弱点もあります。
こうした場合、部分的な補修が難しく、広範囲の再施工が必要になることもあるため、日頃の点検と初期対応が肝心です。
ウレタン防水のメンテナンス性|部分補修がしやすい
ウレタン防水は、柔らかい塗膜でできているため、小さな傷や摩耗であれば部分的な補修塗りが可能です。
たとえば歩行や重い物の移動による削れ、ひび割れ、局所的な色あせなども、比較的簡単な作業で補修できます。
応急対応や小規模修繕も容易なので、使用頻度の高いベランダや屋上では重宝されます。
ただし、表面の摩耗が進行してしまうと、防水層だけでなく下地まで劣化しやすくなるのがウレタン防水の注意点です。
放置せず、定期的なトップコート塗り替えや点検を欠かさないことで、長持ちさせることができるのです。
施工費用・コストの違い
FRP防水の費用感|高めだが短期集中に強み
FRP防水は、材料費・施工費がウレタン防水よりやや高額になる傾向があります。
ガラスマットや硬化剤といった原材料自体が高価で、さらに施工には専門的な技術が必要です。
その分、施工スピードが速く、面積が小さいベランダやバルコニーでは価格差が小さくなることが多いのも特徴です。
たとえば、戸建てのバルコニー防水なら「工期が短く、仕上がりが美しい」「多少高くても長持ち重視」という理由でFRPが選ばれることも珍しくありません。
ウレタン防水の費用感|広い屋上や複雑な現場に強いコスパ
ウレタン防水は、液状材料を流し込んで防水層を形成する工法のため、複雑な形状や広い面積の施工現場でも柔軟に対応できます。
その分、材料ロスが少なく、広い屋上や立ち上がりが多い現場ではコストパフォーマンスが高くなります。
また、下地の凹凸や配管まわりなどの細かな部分も塗り分けしやすいため、追加作業や補修の手間が抑えられるというメリットもあります。
費用は現地調査と見積もり比較で決まる
実際の工事費用は、ベランダ・バルコニーか屋上か、下地の劣化状態、必要な補修内容によって大きく変動します。
同じ10㎡の現場でも、下地補修や足場費用、排水口の有無などで数万円単位の差が出ることも。
そのため、必ず現地調査を受けて複数社から見積もりをとり、工事内容・内訳・保証条件までしっかり比較することが、後悔しないコスト管理のカギになるでしょう。
適した場所・向いているケース
FRP防水が向いている場所|ベランダやバルコニー
FRP防水は、日常的に人が出入りする小規模なベランダやバルコニーに特に適した防水工法です。
硬くて強度の高い防水層を形成するため、歩行や家具の設置、洗濯物の出し入れなどによる摩耗に強く、表面の美観も保ちやすいという特長があります。
また、トップコートを定期的に塗り替えることで、見た目と防水性能を長く維持できるため、「使用頻度が高く、見た目も重視したい場所」ではFRP防水のメリットが活きるでしょう。
一方で、下地の動きが大きい建物や広い面積では、ひび割れリスクを考慮する必要があります。
ウレタン防水が向いている場所|広い屋上・複雑な形状への対応として
ウレタン防水は、広い屋上や形状が複雑な場所、配管や立ち上がりが多い部位に向いている防水工法です。
液体状の材料を塗り重ねて施工するため、凹凸や細かな取り合い部分にも隙間なく密着させることができます。
さらに、下地の動きに追従しやすい柔軟性があるため、建物の揺れや温度変化による伸縮が気になるケースでも安心感があるのが特徴です。
また、部分補修を重ねながら維持できる点や、施工条件によってはコストを抑えやすい点から、長期的なメンテナンスを前提とした屋上防水にも適しています。
FRP・ウレタンの弱点と注意点
FRP防水の弱点・注意点|下地の動きと施工環境に注意
FRP防水は非常に硬くて頑丈な防水層を作れる反面、下地の動きが大きい場所では層間剥離やひび割れが生じやすいという弱点があります。
特に木造住宅の広い屋上や、構造上たわみやすい場所では、経年で剥がれや浮きが起こるケースが少なくありません。
また、下地が湿っている状態や雨上がり直後に施工すると、内部に水分が残って密着不良や膨れの原因となります。
そのため、施工前の乾燥チェックや、適切な工程管理ができる業者かどうか、技術力を重視して選ぶことが大切です。
ウレタン防水の弱点・注意点|塗膜の均一性と耐久性に配慮
ウレタン防水は、液体状の材料を現場で塗り広げる工法なので、職人の腕によって塗膜の厚みが均一にならないことがあります。
気温や湿度が高い時期・低い時期も、乾燥や硬化のタイミングがずれてしまい、性能低下や仕上がり不良につながる場合があるのです。
また、FRPに比べると耐摩耗性や耐紫外線性がやや劣るため、日当たりや歩行量が多い場所では、早めのトップコート塗り替え・点検が必要です。
業者選びの際は、アフターメンテナンスの有無や過去の施工実績、保証内容もしっかり確認しましょう。
よくある質問・Q&A
Q:どちらが絶対に「長持ち」しますか?
「絶対に長持ちする工法」は一概には決められません。なぜなら、FRPもウレタンも、施工する場所や使い方によって寿命や性能に違いが出るためです。
たとえば、小規模なベランダやバルコニーで、人の歩行や物の出し入れが多い場所ならFRP防水が高耐久・高摩耗性でおすすめです。
一方で、広い屋上や形状が複雑な場所、下地の動きが心配な建物ではウレタン防水の柔軟性が活きて、トータルの耐久性につながる場合もあります。
「どちらが自分の家に向いているか」を、専門業者とよく相談することが長持ちのポイントなのです。
Q:工法の途中変更はできる?
防水工事の途中で「やっぱり別の工法にしたい」と考えるケースもありますが、既存の防水層や下地の状態によっては難しい場合があります。
特にFRP防水とウレタン防水では、下地処理や接着方法が異なるため、途中変更には追加費用や撤去作業、場合によっては全面やり直しが必要となるケースも。
「重ね防水(カバー工法)」が可能な場合もありますが、必ず現地調査とプロの診断を受けたうえで、最適な選択をしましょう。
Q:工事費用はどのくらい?
FRP防水は1㎡あたり6,000〜10,000円が相場とされています。
ウレタン防水は1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一般的な目安です。
ただし、下地の傷みや補修の有無、工事範囲、足場設置の必要性によっても総額が大きく変動するため、必ず複数社から詳細な見積もりを比較検討することが大切です。
納得できるまで内容の説明を受け、不明点はその場で質問しましょう。
まとめ
FRP防水とウレタン防水は、それぞれ異なる強みと注意点を持った工法です。
「どちらが絶対に長持ち」とは言い切れませんが、ベランダやバルコニーなど歩行や物の出し入れが多い場所ではFRPが、広い屋上や複雑な形状にはウレタンが適していることが多いのです。
また、FRPはトップコートの再塗装による美観維持や耐摩耗性が魅力ですが、構造の動きにはやや弱く、下地の点検や初期対応が重要となります。
一方、ウレタンは柔軟性と部分補修のしやすさがメリットですが、塗膜の摩耗や紫外線ダメージには注意が必要です。
いずれも「現場ごとの状況把握」「プロによる確かな施工」「定期点検や適切なメンテナンス」が長持ちの決め手。
価格だけで選ばず、用途・環境・維持管理のしやすさまで考え、信頼できる専門業者とじっくり相談しながら最適な工法を選ぶことが大切です。
どちらの工法にすべきか迷ったときや、業者選びで不安があるときは、防水工事専門ポータル【水防人】の無料相談サービスもぜひご活用ください。
あなたの住まいにぴったりの防水工事で、長く快適な暮らしを守っていきましょう。
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