賃貸物件の防水工事は誰の責任?オーナーと借主の境界線を解説 | 水防人

防水工事の基礎知識

賃貸物件の防水工事は誰の責任?オーナーと借主の境界線を解説

2026/01/05

賃貸物件で雨漏りやベランダの劣化が発生した場合、「修理や防水工事はオーナー負担なのか?それとも借主の責任なのか?」と悩む方は少なくありません。

実際、現場でよく相談されるのが、「修繕費用の負担区分」や「連絡・手続きの進め方」に関するトラブルです。

この記事では、賃貸住宅の防水工事にまつわる責任の境界線と、円滑な対応のためのポイントについて、専門的な視点と実例を交えて詳しく解説します。

賃貸物件における防水工事の原則的な責任区分

オーナー(貸主)の責任範囲とは

賃貸物件の防水工事や屋上・ベランダ・外壁・屋根といった建物の主要構造部の修繕は、原則としてオーナー(貸主)の負担・責任で行うことが法律で定められています。

民法第606条では「賃貸人は賃借物を使用及び収益に適した状態に保つ義務がある」と明記されており、さらに借地借家法や国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、経年劣化や通常損耗による防水層の劣化・雨漏り修繕はオーナーの原状回復義務に含まれるとされています。

特に雨漏りや防水の不良は、入居者の生活の安全・衛生に直結する重大な居住環境の欠陥と位置づけられており、多くのケースでオーナーが速やかに責任をもって修繕対応を行うことが求められるのです。

ただし、契約書や管理規約に特約がある場合は、その内容が優先されるため、念のため確認しておくとより安心でしょう。

借主(入居者)の責任範囲とは

一方で、借主(入居者)が費用負担すべきケースは、通常の使い方を超えた過失故意による損傷が原因の場合です。

たとえば、重い家具や器具をベランダに無理に設置して床を破損したり、観葉植物の水やりで大量の水をこぼしてしまい、床面や防水層に損傷が生じた場合などは、「善管注意義務違反」にあたり、修繕費を負担することになります。

国土交通省のガイドラインでも、「通常損耗や経年劣化は貸主負担」「借主の過失や故意、管理義務違反による損傷は借主負担」と明記されています。

ただし、「どこまでが通常損耗か、どこからが借主の責任か」は実際の契約内容や個別の状況によっても解釈が分かれることがあります。疑問やトラブルが生じた場合は、必ず管理会社や専門家に早めに相談することが大切です。

【参考・参照元】

・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
・民法第400条・606条
・借地借家法

オーナーが責任を持つ代表的なケース

屋上やベランダ、外壁の経年劣化によるひび割れや雨漏り

時間の経過とともに発生する屋上やベランダ防水層のひび割れ、外壁クラックや剥離、シーリングの劣化などは、賃貸物件の通常損耗と見なされます。

これらは建物オーナーの「原状回復義務」として、計画的な修繕・補修が求められます。

たとえば、「築15年を過ぎてベランダ床に微細なクラックが生じた」「経年でコーキングが切れて雨漏りした」場合は、借主に落ち度がなければ、オーナーが費用を負担し修理するのが原則です。

建物全体の修繕計画に基づく定期的な防水工事やリフォーム

マンションやアパートでは、建物価値維持や長期修繕計画に基づき、数年おきに大規模修繕や防水リフォームを実施します。

このような「全体メンテナンス」は借主の過失に関わらず、資産管理責任としてオーナーが実施・費用負担することが一般的です。

新築時や過去の施工不良が原因で発生した浸水・防水不良

もし新築後間もなく雨漏りや漏水が発生した場合や、以前のリフォームの不備で不具合が生じた場合も、施工保証や建物オーナーの管理責任に該当します。

「施工会社の保証期間内」や「瑕疵担保責任」が問われることもあり、基本的に借主が費用負担を求められることはありません。

このようなケースは、建物の資産価値の維持や居住者の生活安全確保を目的に、オーナーが主体的に対応することが法律やガイドラインで定められているのです。

借主が責任を問われる主なケース

ベランダや室内床の損傷(重い荷物や家具の設置・移動)

借主がベランダや室内床に大きな家具や重い物を長期間置き続けた結果、床が凹んだり防水層が損傷した場合は、「通常使用の範囲を超える過失」とされ、修繕費を請求されることがあります。

たとえば「大型水槽の設置で床面が沈下」「自転車やキャスター付き収納で床を深くえぐった」などが該当します。

ペット・水槽による水漏れやカビ・腐食の放置

ペットの排泄物や、水槽・プランターの水が溢れたまま放置され、防水層や床材にカビ・腐食などの損傷が広がった場合も「善管注意義務違反」となります。

たとえば「ペットの粗相や水漏れを長期間放置し、階下に漏水被害が生じた」といったケースでは、入居者が修繕費や損害賠償を負担する可能性が高いのです。

DIYや無断改修による防水層損傷

近年増えているのが、入居者自身によるDIYや改修工事で誤って防水層を傷つけてしまうケースです。

「ベランダの床を無断で塗装した」「アンカーを打ち込んで穴を空けた」「ガーデニング資材を敷き詰めて水はけが悪くなった」などは、管理会社やオーナーの承諾を得ず行った場合、借主負担となることが多いでしょう。

トラブルを防ぐための契約・対応のポイント

契約書・重要事項説明書の確認は必須

賃貸物件で発生する修繕費や防水工事の負担区分については、賃貸借契約書や重要事項説明書に具体的な記載があることが多いです。

「原状回復の範囲」「特約条項」「修繕の責任分担」など、あらかじめルールが定められている場合は、その内容に従うことが基本となります。

特に、「どのような修理がオーナー負担で、どの範囲までが借主責任になるのか」は物件によって差があるため、契約前・入居時に必ず該当項目を確認しましょう。

不明点や曖昧な表現がある場合は、入居前でも管理会社やオーナーに遠慮せず問い合わせておくことで、後々のトラブル予防につながります。

異常発見時の基本行動フローを守る

建物に異変や劣化サインを見つけた際は、

①まず現状をスマホ等で写真・動画記録する
②被害や変化の経過を簡単にメモしておく
③速やかにオーナーまたは管理会社へ連絡する

という順序を徹底しましょう。

また、やりとりの内容や日時も記録しておくと、仮に責任区分でもめた場合に「経緯の証拠」となり、交渉を有利に進める材料になります。

工事・修理の実際の流れと借主が協力すべき点

日程調整・立ち会いの協力

共用部分や室内の修理・防水工事を行う場合、管理会社や工事業者との日程調整が必要です。

借主側にも、「工事当日の立ち会い」「私物や家具の一時移動」「ベランダや廊下の一時的な利用制限」などの協力が求められることがあります。

生活や仕事への影響を減らすためにも、事前に工事予定日や内容をしっかり確認し、疑問点は早めに相談しておきましょう。

DIYや無断での修理・改修は絶対NG

防水層や屋根・外壁の補修は、専門的な知識や技術が不可欠な分野です。

入居者が許可なくDIY修繕や改造をした場合、かえって防水性能が損なわれたり、建物の資産価値を下げるトラブルにつながるリスクがあります。

無断施工で生じた損傷は、借主が損害賠償責任を問われる可能性もあるため、「自分で修理したい」と思っても、必ず管理会社・オーナーへ事前相談を行うことが大切です。

まとめ

賃貸物件における防水工事や修繕の責任は、「原則としてオーナー(貸主)」が負担するのが一般的です。 屋上やベランダ、外壁など建物の構造部分の経年劣化や、資産価値・住環境の維持に関わる修繕は、法律や慣習の上でもオーナー責任であるケースが大半です。

一方で、入居者(借主)が過失や管理不十分で発生させた損傷や劣化については、借主側に修繕費の請求がなされることもあります。 「どちらがどこまで負担するか」は契約書や重要事項説明書に具体的な記載がある場合も多いので、必ず事前に確認しておきましょう。

異変を感じた際は、まず記録と迅速な連絡が大切です。 無断でDIYや補修をせず、必ず管理会社・オーナーに相談し、トラブルや責任問題を未然に防ぐことが賢明です。

もし分からないことがあれば、【水防人】の無料相談窓口もぜひ活用してください。 建物の安心と快適な賃貸生活のため、正しい知識と早めの対応を心がけましょう。

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