ベランダ防水工事はDIYできる?手順やメリット・デメリットを解説
2025/04/28

ベランダの防水工事は、建物を守るために欠かせないメンテナンス作業です。特に、日本の気候は梅雨や台風が多いため、適切な防水対策をしていないと雨漏りや建物の劣化が進んでしまいます。
とはいえ、防水工事を業者に依頼すると数万円から数十万円の費用がかかるため、「DIYでできないか?」と考える方も多いでしょう。
本記事では、ベランダ防水工事のDIY方法やそのメリット・デメリット、プロに依頼すべきケースについて詳しく解説します。
ベランダの防水工事が必要な理由

ベランダは屋根がない、または半屋根の状態で設置されていることが多く、以下のような外的要因によって劣化しやすい場所です。
雨水や湿気の影響
雨が直接当たることで防水層が劣化し、水が内部に侵入するとコンクリートのひび割れや鉄筋の錆が発生します。
紫外線や温度変化の影響
強い日差しや寒暖差により、防水層が収縮と膨張を繰り返し、ひび割れの原因となります。
経年劣化
一般的な防水施工の耐用年数は約10〜15年ですが、それを過ぎると防水層の剥がれやひび割れが発生しやすくなります。
これらの理由から、ベランダの防水工事は定期的に行う必要があります。
ベランダ防水の主な工法
防水工法にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
防水工法 | 特徴 | メリット | デメリット | DIY可否 |
---|---|---|---|---|
ウレタン防水 | 液状のウレタンを塗布して防水膜を形成 | 施工が比較的簡単、コストが抑えられる | 厚みの均一化が難しい、乾燥に時間がかかる | △(簡易施工なら可) |
FRP防水 | ガラス繊維と樹脂を組み合わせた高強度防水 | 強度が高く耐久性がある | 費用が高く、施工が難しい | ✕(専門技術が必要) |
シート防水 | 塩ビやゴムシートを貼り付ける方法 | 工期が短く、耐久性が高い | 下地調整が必要、施工費用が高め | ✕(DIYは困難) |
アスファルト防水 | 防水シートを熱で溶着する工法 | 高い防水性、長寿命 | 施工が難しく、専門知識が必要 | ✕(DIY不可) |
DIYでは、ウレタン防水の一部補修やトップコートの塗り替えが可能ですが、FRP防水やシート防水は専門業者に依頼するのが無難です。
DIYが可能な防水方法
DIYで行えるベランダの防水工事には、以下の2つの方法があります。
防水塗料(トップコート)の塗り替え
現在の防水層が比較的健全な状態であれば、トップコート(仕上げ塗料)を塗り替えることで防水効果を維持できます。特に、FRP防水やウレタン防水の仕上げとして使用されることが多いです。本工法は比較的簡単な作業で防水性能を向上でき、工期も短いためDIYでも取り組みやすい特徴があります。ただし、既存の防水層が劣化している場合は効果が薄いという点に注意が必要です。
コーキング(シーリング)の補修
ベランダの床や立ち上がり部分(壁との境目)、排水口周辺には、シーリング材が使われていることが多く、経年劣化でひび割れや剥がれが発生します。これを補修することで、雨水の侵入を防ぐことができます。コーキングによる補修は、ひび割れや小さな隙間の修理に適しており、比較的安価で施工可能です。ただし、劣化が進んでいる場合は根本的な解決にはならないため、注意が必要です。
DIY防水工事の手順
ここでは、DIYで防水工事を行う際の具体的な手順を解説します。適切な手順を守らないと、防水効果が十分に得られないため、慎重に作業を進めましょう。
① 準備する道具と材料
防水塗料(トップコート)
・ウレタン塗料、またはFRP用トップコート
施工用具
・ハケ・ローラー・ヘラ(塗料を均一に塗るため)
・マスキングテープ・養生シート(塗りたくない部分を保護)
・高圧洗浄機またはデッキブラシ(下地処理のため)
・シーリング材(ひび割れや隙間補修用)
・プライマー(下塗り材)(防水塗料の密着性を向上)
安全対策
・ゴム手袋、保護メガネ、マスク(塗料やシンナーの影響を防ぐ)
・長袖・長ズボン(皮膚への付着を防ぐ)
② 下地処理(最も重要)
防水工事において、下地処理の出来が仕上がりに大きく影響します。十分に下地を整えることで、防水塗料の密着性が向上し、耐久性が長持ちします。
下地処理の最初のステップとして、ベランダの床をしっかり洗浄する必要があります。高圧洗浄機を使用すれば汚れを効率的に落とすことができますが、ない場合はデッキブラシと中性洗剤を使用して丁寧にこすり落とします。洗浄後は半日から1日程度かけて完全に乾燥させましょう。
次に、ひび割れや隙間の補修を行います。ひび割れを見つけた場合は、コーキング(シーリング材)を充填し、24時間程度かけて完全に乾燥させます。乾燥後は、ヘラなどを使用して表面を均一に滑らかに仕上げていきます。
③ プライマー(下塗り)を塗る
プライマーは、防水塗料の密着性を向上させる役割を持ちます。適切に塗布することで、塗料の剥がれを防ぎ、防水効果を長持ちさせることができます。
まず、ローラーやハケを使ってベランダ全体に均一にプライマーを塗布します。その後、通常1~3時間程度の乾燥時間を必ず守り、塗り残しがないことを確認しながら完全に乾燥させます。
④ 防水塗料の塗布
プライマーが完全に乾いたら、いよいよ防水塗料を塗っていきます。まず1回目の塗布では、ローラーやハケを使って均一な厚さで塗り、特に角や立ち上がり部分はヘラを使ってしっかりと塗布します。その後、6~12時間程度乾燥させます。
続いて2回目の塗布を行います。1回目が完全に乾燥してから、ムラができないように注意しながら全体に均一に塗ります。2回目の塗布後は12~24時間程度かけて十分に乾燥させることが重要です。
⑤ 仕上げと乾燥
防水塗料の塗布が完了したら、最後の仕上げとしてしっかり乾燥させることが重要です。施工直後は最低24時間は歩行禁止とし、完全な硬化には72時間(3日間)程度必要となります。また、雨天時や湿度が高い日は乾燥時間が長くなる可能性があるため、天候にも注意を払う必要があります。
DIYのメリット

費用を抑えられる
DIYの最大のメリットは、業者に依頼するよりも費用を大幅に削減できることです。
例えば、業者に依頼するとトップコートの塗り替えで約5万円~15万円、ウレタン防水の簡易施工では10万円~30万円かかることがあります。
しかし、DIYで行えば、トップコートの塗り替えなら1万円~3万円、コーキング補修のみなら2,000円~5,000円程度で済むことが多く、全体のコストを3分の1以下に抑えられる場合もあります。
自分のペースで施工できる
DIYなら、自分のスケジュールに合わせて作業を進められます。
業者に依頼すると日程調整や立ち会いが必要になりますが、DIYであれば週末や空いた時間を利用して作業できるため、柔軟に対応できます。
また、軽微な補修であれば半日~1日程度で完了するため、休日を活用して作業することも可能です。
軽度の補修ならDIYでも対応可能
軽微な補修であれば、DIYでも十分に対応できます。
例えば、トップコートの塗り替えや、ひび割れや隙間のコーキング補修、防水層の簡単なメンテナンスは、専門知識がなくても比較的容易に施工できます。
ただし、既存の防水層が剥がれていたり、下地が劣化している場合は、DIYでの対応が難しくなるため、専門業者に依頼するのが適切です。
DIYのデメリット

仕上がりにムラが出る可能性
防水工事は均一な仕上がりが求められますが、DIYでは塗料の厚みや塗りムラが発生しやすくなります。
塗料の厚みが均一でないと、乾燥後に剥がれやすくなったり、プライマーを適切に塗らないと防水塗料が定着せず、耐久性が低下することがあります。
また、乾燥時間を守らないと塗料の強度が十分に発揮されず、ひび割れの原因になることもあります。
適切な施工をしないと防水効果が低下する
防水工事は、下地処理や塗装の工程を正しく行わないと、十分な防水性能を発揮できません。
例えば、下地処理が不十分だと防水塗料がしっかり密着せず、すぐに剥がれることがあります。
また、防水塗料を厚く塗りすぎると乾燥不良を起こし、ひび割れの原因になります。
誤った施工によって数年後に雨漏りが発生し、結果的に業者に修理を依頼することになれば、最初からプロに任せたほうが経済的だったというケースもあります。
高所作業による危険性がある
ベランダの防水工事は、高所作業が伴うことが多く、転落のリスクがあるため注意が必要です。
特に2階以上の建物では、足場が不安定になりやすく、作業時にバランスを崩して落下する危険性があります。
また、防水塗料やシーリング材には強い臭いを発するものも多いため、換気を徹底し、作業時はマスクを着用するなどの安全対策が必要です。
DIYでは対応できない状況
既存の防水層が剥がれている・膨れている
防水層が剥がれていたり、膨れが発生している場合は、防水機能がすでに低下している証拠です。
この状態でDIYによる簡易補修を行っても、一時的な効果しか期待できず、短期間で再び劣化する可能性が高くなります。
防水層の膨れは、下地に水分が含まれていることで発生することが多く、適切な処理を行わないと、さらに悪化することがあります。
こうした症状が見られる場合は、既存の防水層を撤去し、新たな防水処理を施す必要があるため、プロに依頼するのが適切です。
下地のコンクリートが劣化している
防水工事を行う前の下地処理は、施工の品質を左右する重要な工程です。
しかし、下地のコンクリートが劣化し、ひび割れや剥離が進行している場合は、単に防水塗料を塗るだけでは十分な防水性能を確保できません。
コンクリートの劣化が進んでいる場合は、下地補修の専門知識が必要となるため、プロの技術による適切な処理が求められます。
広範囲のひび割れ・雨漏りが発生している
軽微なひび割れはDIYでも補修できますが、広範囲にひび割れが発生している場合や、すでに雨漏りが起きている場合は注意が必要です。
ひび割れが多数ある場合、防水層だけでなく建物の構造自体に問題がある可能性があり、適切な調査と補修が必要になります。
また、雨漏りが発生している場合は、表面的な防水工事だけでは解決せず、屋根や外壁の施工も含めた総合的な修繕が必要になることがあります。
このような場合は、専門業者に依頼して原因を特定し、最適な防水工事を行ってもらうことが重要です。
プロに依頼するメリット
確実な防水性能の確保
プロの業者に依頼する最大のメリットは、高品質な施工によって確実な防水性能を確保できることです。
業者は建物の状態に応じて最適な防水工法を選択し、耐久性の高い施工を行います。
また、専門的な技術や経験を活かし、施工後のトラブルを未然に防ぐことができます。
施工後の保証がつく
多くの防水工事業者では、施工後に一定期間の保証がつくため、万が一のトラブルにも対応してもらえます。
DIYで施工した場合、万が一防水層に問題が発生しても自己責任となり、追加の補修が必要になってしまいます。
しかし、業者に依頼すれば、保証期間内であれば無料で修繕を受けられるケースもあり、安心して工事を任せることができます。
長期的なコストパフォーマンスが良い
DIYで防水工事を行うと、一時的には費用を抑えられますが、施工ミスや防水効果の不足によって、短期間で再施工が必要になることがあります。
その結果、DIYで何度も補修を繰り返すよりも、最初からプロに依頼した方が、長期的にはコストパフォーマンスが良い場合があります。
特に、雨漏りが発生してしまうと、室内の修繕費用も発生し、さらにコストがかかるため、適切なタイミングで業者に依頼することが重要です。
ベランダ防水工事の費用相場

DIYの場合の費用
DIYでベランダの防水工事を行う場合、主に必要なのは防水塗料や施工に必要な道具類です。一般的な費用の目安は以下の通りです。
必要な道具 | 価格目安 |
---|---|
防水塗料(ウレタン系・アクリル系など) | 5,000円~15,000円 |
ハケ・ローラー・ヘラ | 1,000円~3,000円 |
プライマー(下地処理用) | 3,000円~5,000円 |
マスキングテープ・養生シート | 1,000円~3,000円 |
シーリング材(ひび割れ補修用) | 2,000円~5,000円 |
合計費用:約10,000円~30,000円
DIYは比較的安価に済ませることができますが、塗料や道具の品質によっては耐久性に差が出るため、慎重な選択が必要です。
業者に依頼した場合の費用相場
専門業者に依頼する場合、工法や施工面積によって費用は変動します。以下は、一般的な防水工法ごとの費用相場です(施工面積10㎡あたりの目安)。
ウレタン防水(5万円~15万円)
液状のウレタン樹脂を塗り重ねる防水工法。コストと耐久性のバランスが良く、多くの住宅で採用されています。
FRP防水(10万円~20万円)
繊維強化プラスチックを使用した防水工法。強度が高く耐久性に優れていますが、施工費はやや高めです。
シート防水(塩ビ・ゴムシート)(10万円~25万円)
シートを貼り付ける防水工法。耐久性が高く、大型施設やマンションのベランダなどに多く採用されます。
業者に依頼する場合の注意点として、施工面積が広くなるほど費用が比例して増加すること、防水工法の選択によって耐久性とメンテナンス頻度が変わってくること、そして施工後の保証やアフターメンテナンスの内容をしっかりと確認することが重要です。
防水業者選びのポイント
実績が豊富な業者か
過去の施工事例や口コミを確認し、経験豊富な業者を選ぶことが重要です。特に、自宅と同じような構造の施工実績がある業者なら、安心して任せることができます。
適正価格で見積もりを出してくれるか
相場より極端に安すぎる見積もりを提示する業者には注意が必要です。不適切な施工が行われる可能性があるため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
施工後の保証があるか
施工後に一定期間の保証を提供している業者を選ぶことで、万が一のトラブル時も安心できます。保証内容や期間を事前に確認し、契約することが大切です。
まとめ
ベランダの防水工事は、小規模な補修や部分的な修繕であればDIYで対応できる場合もあります。ただし、建物の安全性や長期的な耐久性を考えると、確実な防水効果を得るためには、専門的な知識と経験を持つ業者に依頼することをお勧めします。
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