防水工事の見積もりを比較するときのチェックポイント5選
2025/09/22
防水工事は建物を長持ちさせ、雨漏りなどの深刻なトラブルを防ぐために欠かせません。しかし、いざ業者に見積もりを依頼すると、同じ工事内容なのに金額が大きく違っていて「何が正しいの?」と戸惑う方も多いはずです。
「安さ」だけで業者を選ぶと、後々のトラブルや高額な追加費用に悩まされるケースも…。本記事では、防水工事の見積もりを比較する際に“絶対に見逃してはいけない5つのチェックポイント”を、防水専門家の立場から詳しく解説します。
防水工事の見積もりはなぜ業者ごとに違う?

防水工事を検討する際、多くの方が「同じ内容で見積もりを依頼したのに、なぜここまで金額が違うの?」と疑問を感じられます。
実際、防水工事の見積もりは業者ごとに金額も項目も大きく異なるのが普通です。
この違いを正しく理解することが、「適正価格で高品質な工事」を実現する第一歩です。
主な違いが生まれる理由
1. 使用する工法や材料の違い
防水工事には、ウレタン防水、FRP防水、シート防水(塩ビ・ゴム)、アスファルト防水など複数の工法があります。
たとえばウレタン防水でも、「密着工法」「通気緩衝工法」など仕様が細かく分かれており、下地の状態や建物の特徴に合わせて最適な工法が選択されます。
また、同じウレタンでもメーカーやグレードの違いによって、材料単価は2〜3倍の差がつくことも。
現場で使用する防水材やトップコートの品質も見積もり金額に直結します。
2. 施工範囲・下地補修の内容
見積もりに含まれる施工範囲(屋上全面、立ち上がり、手すり、排水溝など)や、下地の傷み具合・補修の有無も金額を大きく左右します。
古い建物では、防水層だけでなく下地コンクリートのひび割れや段差補修、モルタルの浮き直し、既存防水層の撤去などが必要になるケースが多いです。
「現地調査をしっかりしている業者ほど、下地処理や補修費用を明確に見積もりへ反映」しているため、結果的に他社より高くなる場合もあります。しかしこれは“後出し追加”を防ぐ意味でも大切な視点です。
3. 人件費や諸経費、会社の規模・地域差
・地域によって人件費や材料の運搬費が異なる
・会社規模が大きい業者は広告費や営業コストが上乗せされやすい
・下請け・外注に多く出す業者と、自社職人が直接工事する業者で経費が違う
特に都市部(東京・大阪など)と地方都市では、同じ内容の工事でも5~20%ほど価格差が生じることがあります。
4. 保証やアフターサービスの内容
・「工事後◯年保証」「定期点検無料」「雨漏り補償の有無」など
・アフターサービスが充実している業者ほど見積もり金額がやや高めになる傾向
単なる「工事のみ」の安い見積もりと、保証・アフターケア込みの見積もりでは、同じ“㎡単価”でも安心度がまったく異なります。
現場の例:実際によくあるパターン
例えば、「屋上防水(100㎡)」で3社に見積もりを取った場合、
A社:シート防水(下地処理ほぼなし、保証1年、税込60万円)
B社:ウレタン防水・密着工法(下地補修含む、保証5年、税込80万円)
C社:ウレタン防水・通気緩衝工法+下地補修・既存撤去、保証10年、定期点検あり、税込120万円
……と、同じ㎡数でも内容・保証・工法が違えば金額差は2倍近くになることも珍しくありません。
見積もり比較で必ずチェックすべき5つのポイント

1. 施工範囲・工法・材料の内訳が明確か
防水工事の見積もりで最初に注目すべきは、「どこまで工事するのか」「どんな工法で、どの材料を使うのか」が具体的に書かれているかどうかです。
たとえば
施工範囲:「屋上のみ」「ベランダ・バルコニーも含む」「立ち上がり(壁の立ち上がり部分)も含む」など、細かい範囲が線引きされているか。
工法名:ウレタン防水、FRP防水、シート防水(塩ビ・ゴム)、アスファルト防水など、具体的な工法名が明記されているか。
材料・メーカー名:ウレタン防水なら「◯◯社製高耐久ウレタン樹脂」、シート防水なら「△△メーカー塩ビシート」など、グレード・型番まで記載があるか。
「防水工事一式」「材料費込」など、まとめて記載されている場合は注意が必要です。
どんな材料をどこに使うのかが不明確な見積もりは、後から「聞いていた内容と違う」「品質が低い材料だった」などのトラブルに直結します。
2. 下地補修・撤去費用が含まれているか
防水工事は「表面を新しくするだけ」ではありません。既存の防水層の撤去や、コンクリート下地の補修が必要なケースが多いのです。
・既存防水層の剥がし作業
・コンクリートのひび割れ補修や段差修正
・サビやカビ、浮き部分の処理
これらが見積書に「含む」「別途」など、どう記載されているかは極めて重要です。
【よくあるトラブル例】
見積もりには入っていなかった「下地補修」「撤去費」が工事途中で追加され、予想より高額になるケースが多発しています。
「下地補修別途」「撤去費用一式」などの曖昧な表現がないか、しっかり確認しましょう。
【アドバイス】
事前に現地調査をしっかり行い、「どこまでが基本料金で、どこからが追加なのか」を書面で明示してもらうことが大切です。
3. 足場・養生費・諸経費の内訳
高所での防水工事では、安全な作業のため「足場」が必要です。また、周囲を傷めないための養生(保護シート)や、ゴミ・廃材の処分費も必ず発生します。
・足場設置費(1回10~30万円前後が目安。外壁塗装と同時なら1回で済む)
・養生費(塗料や材料の飛散防止、近隣への配慮)
・廃材・ゴミ処分費
特に都市部・高層階・狭小地では、足場や搬入経費が割高になることもあります。
「諸経費」「共通仮設費」などでまとめられている場合、何が含まれているのか明細を必ず出してもらいましょう。
内訳を曖昧にされたままだと、「想定外の追加請求」の原因になります。
4. 保証内容・アフターサービスの記載
防水工事は「工事後の保証」がとても重要です。保証が手厚い業者は自信を持って施工している証拠とも言えます。
・保証期間(一般的には5年、良心的な業者は10年保証も)
・保証内容(「防水層の剥がれ」「雨漏り」など、どこまでが対象か)
・アフター点検や無料補修の有無
・保証書の発行(見積書・契約書に「保証書を発行する」と明記)
「保証内容は口頭のみ」「保証書なし」では、万一のトラブル時に泣き寝入りとなってしまいます。
必ず“書面”で確認し、不明な点は納得できるまで質問しましょう。
5. 総額と単価・追加費用発生条件
・見積もりの㎡単価や総額が「相場」と比べて極端に安すぎないか
・「一式○万円」「追加費用は現場で判断」など、曖昧な記載はないか
・追加費用が発生する場合、どんな時に・いくらかかるのかを明記してもらう
防水工事は“安かろう悪かろう”が通用しません。
極端に安い業者は、後からオプション追加や最低限の作業しかせず、かえって高くつくことも。
「何にいくらかかるか」が明確な見積もりで、安心して工事を進めることが一番大切です。
見積もり比較のNG例・失敗例

見積もりを比較する際、内容や担当者の対応をしっかり見極めないと、「こんなはずじゃなかった…」という後悔につながることがあります。特に下記のようなケースには要注意です。
見積書が「一式」や「○○含む」だけで内容が不明瞭
詳細な内訳が書かれていない見積書は、どんな材料が使われるのか、どこまで工事するのかが分からず、手抜きや追加請求の温床になります。「防水工事一式」「雑費含む」などは、必ず明細の提出を求めましょう。
「今契約すれば大幅値引き!」と即決を迫られる
値引きをちらつかせて急かす営業トークには注意が必要です。冷静に複数社の見積もりを比べることが大切です。「本日中なら20%オフ」「他社見積もりを見せてくれたらさらに値引き」といった営業には、焦らず慎重に対応しましょう。
安さにつられて契約したら、あとで追加請求や保証なしトラブルに…
初期費用は安かったのに、工事途中で「下地が想定以上に傷んでいた」「材料が不足した」などと次々と追加費用を請求され、最終的には他社より高くつくケースも。保証書が出なかったり、アフターサービスが無い業者も少なくありません。
担当者が質問にあいまいな返答しかせず、具体的な工事内容を説明しない
「それは現場を見てみないと…」「うちは大丈夫ですから」など、根拠のない自信や説明をはぐらかす業者には注意しましょう。質問に誠実に答えてくれるかは、信頼できる業者を選ぶ重要な判断基準です。
こうした失敗を防ぐには、見積もり書の“中身”と、担当者の“説明力・対応力”の両方を厳しくチェックすることが不可欠です。
見積もり比較を成功させるコツ

防水工事で後悔しないためには、以下のようなポイントを意識しましょう。
必ず2~3社以上から相見積もりを取る
1社だけで決めず、必ず複数社の見積もりを比較しましょう。相場感や項目の違い、工事内容の提案力が分かります。
現地調査・劣化診断を受けて、正確な工事範囲・内容を把握
机上の見積もりではなく、実際に現場を見て建物の状況に合った提案をしてくれる業者を選びましょう。見積もりの精度や工事の満足度が大きく変わります。
疑問点は契約前に遠慮なく質問。曖昧な回答は必ず再確認
少しでも不安な点があれば、契約前にしっかり質問しましょう。具体的に回答してくれない業者や、都合の悪い部分を隠す業者は避けるべきです。
担当者の対応の誠実さ・説明力も信頼できるかの判断材料
丁寧に説明してくれる、こちらの要望や不安に真摯に向き合ってくれるかどうかも、業者選びの重要なポイントです。
よくあるQ&A
Q. 相見積もりを嫌がる業者は信頼できる?
複数社比較は当然の権利。相見積もりを嫌がる・契約を急かす業者は避けるのが無難です。
Q. 極端に安い見積もりの理由は?
材料の質や工程を省いている場合、後から追加費用がかかる場合、手抜き工事の可能性も。内容を必ず比較しましょう。
Q. 見積もり後に契約を断ってもいい?
見積もり依頼=契約ではありません。納得できなければ断ってOKです。
Q. 追加費用トラブルを防ぐには?
「追加費用の条件」を書面で確認し、現地調査のうえで詳細な説明を受けましょう。
まとめ
防水工事の見積もり比較では、
施工範囲・工法・材料/下地補修や足場の内訳/保証内容/総額と追加条件/業者の説明力
この5大ポイントを必ずチェックし、内容・品質・信頼性重視で納得できる工事を選びましょう。
迷った時や分からないことがあれば、【水防人】の無料サービスを活用し、安心・納得の防水工事を実現してください。
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