防水工事の基礎知識

防水工事は何年おきに行うべき?

2024/06/27

防水工事は、建物の寿命を延ばし、快適な住まいを保つために欠かせないメンテナンスです。しかし、いつどのように行うべきか迷う方も多いでしょう。

この記事では、防水工事のタイミングを見極めるためのチェックポイントや、効果を長持ちさせるコツ、適した季節、防水工事を怠った場合のリスクについて、くわしくご紹介します。

防水工事を実施するタイミングにお悩みの方や、防水工事を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

防水工事のメンテナンス周期

FRP防水

防水工事の工法ごとのメンテナンス周期をご紹介します。まずは、以下の表をご覧ください。

防水工事の工法 耐用年数 特徴
アスファルト防水工事 15年~25年 ・防水層が厚い
・施工の質にばらつきが少ない
・費用が高め(約5,500円~8,000円/㎡)
ウレタン防水工事 8年~10年 ・簡単に施工できる
・廃材が出ない
・工期が短い
・費用は標準的(約4,000円~7,000円/㎡)
塩ビシート(シート)防水工事 10年~12年 ・薄いため損傷しやすい
・工期が短い
・費用が安め(約5,000円~7,000円)
FRP防水工事 10年~15年 ・軽量で強靭
・耐水性、耐候性、耐食性に優れている
・施工中に臭気が発生する
・費用は標準的(約6,000円~8,000円/㎡)

こちらの耐用年数はあくまでも一般的な目安となりますので、ご注意ください。

防水工事のメンテナンス周期は、使用した防水工法や材料、工事の質、建物の環境などによって異なります。また、同じ防水工法や材料を使用していても、施工業者によって差異が生じることもあるのが現状です。

さらに、気象環境や温度変化、日光の照射状況、通行量、使用頻度などによっても耐用年数が変わるため、一概に決めることはできません。

そのため、耐用年数を待たずに気になる点がある際には、念のため専門業者に点検を依頼されると良いでしょう。

特に気になる点がない場合には、上記の耐用年数を目安に点検を実施されることをおすすめします。

防水工事を行うタイミング

劣化したベランダ

次に、防水工事の種類や耐用年数を問わず、メンテナンスのサインといえる防水工事を行うタイミングをご紹介していきます。

新築から15年以上経過している

新築から15年以上経過している建物は、防水工事を検討するべきタイミングであるといえます。

一般的に防水層の寿命は10年から15年ほどとされており、15年以上経過すると防水機能が低下し始めます。

実際に新築から15年以上経過している建物では、水漏れや湿気被害、カビの発生が見られるケースが少なくありません。

特に目立った問題が見つからなくても、新築から15年以上経過している場合は、専門業者に点検を依頼し、必要に応じて防水工事を含むメンテナンスを実施すると良いでしょう。

前回の改修工事から10年以上経過している

前回の防水工事か10年以上経過した建物も、新たに防水工事を実施する時期にきているといえます。

前回の改修工事から10年以上経過すると、防水材の劣化が見られるようになり、防水機能が低下し始めている可能性があります。

そのため、特に目立った問題が見つからなくても、前回の改修工事から10年以上経過している場合は、前回防水工事を実施した業者に点検を依頼することをおすすめします。

前回の改修工事を実施した業者であれば、すでに建物の構造や改修工事で使用した材料を把握しているため、スムーズに対応してもらえるでしょう。

ただし、他の業者でも対応は可能です。さまざまな理由で前回の改修工事を実施した業者以外の専門業者に依頼しても問題ありませんので、ご安心ください。

雨漏りが発生している

雨漏りが発生している建物は、築年数に関係なく、即時に防水工事を検討する必要があります。

雨漏りによって屋内に水分が侵入すると、建物の構造や内装を腐食させます。これにより、場合によってはカビによる健康被害を引き起こす可能性があり、とても危険です。

さらに、浸入した雨水が電気配線やコードの絶縁体のすき間に入り込んでしまうと漏電が起こり、最悪の場合、火災につながる恐れもあります。

雨漏りが発生している場合は、築年数や改修工事からの経過年数に関係なく、速やかに防水工事を検討することが重要です。

カビ、汚れ、錆が発生している

建物にカビや汚れ、錆などが発生している場合は、防水工事を行うタイミングと考えて良いでしょう。

これらの症状が発生している場所は、水漏れや湿気が発生している可能性が高いです。

建物に発生するカビや汚れは、美観を損なうだけでなく、場合によっては住人にアレルギー反応を起こす可能性もあります。

建物にカビや汚れ、錆などが発生している場合は、築年数や前回の改修工事からの経過年数に関係なく、専門業者に点検を依頼し、必要に応じたメンテナンスを行うことをおすすめします。

外壁にひび割れが確認できる

外壁にひび割れがある場合は、防水工事を検討しましょう。

ひび割れている箇所から水が内部に侵入し、建物の構造や内装を腐食させる可能性が高まります。

また、ひび割れが生じている時点で外壁塗装の劣化が進行している証拠でもあります。そのため、防水工事と併せて外壁塗装も検討すると良いでしょう。

メンテナンスを見極めるチェック項目

防水工事のメンテナンスは他にも見極めるポイントがあります。

先ほどご紹介した「防水工事を行うタイミング」に該当しなくても、以下のチェック項目で問題が生じていないか、確認してみましょう。

・雨漏りが発生している
・外壁に水平に長いひび割れが発生している
・コンクリートを叩くと「カラカラ」と乾いた音がする
・床面のコンクリートの目地が飛び出している
・外周の立ち上がり面(腰壁面)のコンクリートやモルタルが割れている
・排水口(ドレイン部)周辺にひび割れや破断がある、または雑草が生えている
・防水層が破れている
・防水層の重ね合わせ(ジョイント)部分にすき間がある、または剥がれている
・アスファルトの水たまりがひどい、植物が生い茂っている
・外周の立ち上がり面の上面(笠木面)にひび割れがある
・防水立ち上がり端末金物上部のシーリングが硬化している、または破断している
・防水シートのコーナー部分にシワが寄っている、または大きく縮んでいる
・防水シートの一部に虫食いのような穴が空いている(鳥がひきちぎった可能性がある)
・塗装防水面が全体的に白い、粉っぽくなっている
・塗装防水面が剥がれており、下地が出ている
・下地がひび割れし、塗膜防水面も切れている
・塗膜防水面の一部が膨れている

これらのチェック項目に該当している場合は、早めに専門業者に点検を依頼し、必要に応じたメンテナンスの実施を検討すると良いでしょう。

防水効果を長持ちさせる方法

建物の寿命を延ばし、快適な住まいを保つために必要な防水工事ですが、ここからは、防水効果を長持ちさせる方法をご紹介します。

防水効果を長持ちさせるためには、以下のようなポイントを押さえることが重要です。。

・定期的にルーフドレンを点検
・変色が起こったら早めにメンテナンスを実施
・膨れやひびわれは補修で対応
・シートのめくれや破れは即対応

順番に見ていきましょう。

定期的にルーフドレンを点検

ルーフドレンとは、屋上やベランダ、バルコニーなどに設置された雨水の排水や落ち葉などのゴミを集めるためのものです。

ルーフドレンにゴミが蓄積した状態で放置すると、排水不良が起こり、常に水が溜まった状態になります。特に鉄製鋳物で作られたルーフドレンは、水が溜まった状態が続くと錆が発生し、劣化が進みます。

ルーフドレンの劣化が進行すると、防水層のジョイント部分も影響を受け、すき間が生じてそこから雨水が侵入する可能性が高まります。

これらの問題を防ぐためには、1年に1回はルーフドレンの点検を実施し、ゴミや泥が溜まっていないか確認することが重要です。

変色が起こったら早めにメンテナンス

防水されている部分に変色が起こっている際は、早めのメンテナンスが必要です。

防水工事では、表面にトップコートが塗布されています。これは、防水層を紫外線から守るために施されていますが、一般的には5年に一度の塗り替えが推奨されています。

特にウレタン防水工事を実施している場合は、紫外線による劣化が進みやすいため、トップコートに変色が見られた場合には、速やかにメンテナンスを行う必要があります。

膨れやひび割れは補修で対応

防水層の膨れやひび割れも劣化が進行している合図となるため、早急なメンテナンスが必要です。

防水層の膨れは、大きくなると亀裂や穴あきが起こりやすくなります。

そのため、膨れやひび割れが目立ってきたら、早めにメンテナンスを検討しましょう。

シートのめくれや破れは即対応

防水シートのめくれや破れが見られた際には、早急にメンテナンスを行いましょう。

このような症状が見られる場合、すでに雨水が内部に侵入している可能性が高まります。

この状態を放置しておくとさらに悪化するだけでなく、建物内に侵入した水分が建物内部の構造や内装を腐食させる可能性もあります。

このような事態を避けるためにも、早急にメンテナンスを検討することをおすすめします。

防水工事に適した季節

防水工事は定期的なメンテナンスが重要ですが、季節によって施工の適した時期が異なります。以下に、季節ごとの特性と施工の適否をご紹介します。

春(3月~5月)

春は一年の中でも雨風が比較的少なく、施工を進めやすい時期です。

ただし、春一番などの強風になる際には施工を中止することがあります。施工状況だけでなく、職人の安全性も考慮することが重要です。

夏(6月~8月)

夏は梅雨やゲリラ豪雨など、急な雨が降ることが多いため、施工がむずかしい時期です。

屋根に水分が残ったまま施工すると、膨れや変色などが起こりやすくなります。また、屋根が熱くなりすぎてしまうと。施工が制限されることがあります。急を要さない限り、防水工事は避けたい時期といえるでしょう。

秋(9月~11月)

秋は台風の影響を受けることがありますが、落ち着いた天候が続くことも多く、施工が進めやすい時期です。

ただし、強風や突発的な天候の変化には注意が必要です。

冬(12月~2月)

冬は気温が低く乾燥が遅れるため、施工が困難な場合があります。

特にシート防水を行う場合は、収縮しやすくなることに注意が必要です。また、凍結や結露のリスクも考慮する必要があります。

しかし、冬においても条件に応じた施工方法が存在するため、専門業者に相談することが重要です。

各季節における天候や建物の状況を考慮し、適切なタイミングでの防水工事を計画することが建物の耐久性を保つために重要です。

防水工事を怠ると起こり得る4つのリスク

雨漏り

最後に、防水工事怠ることで起こり得るリスクを4つご紹介します。

剥がれや膨れの発生、悪化

防水工事を怠ると、トップコートや防水シート、防水層に剥がれや膨れが生じることがあります。

これらの状態を放置すると、問題は悪化し、最終的には防水効果が低下してしまうため、早めのメンテナンスが重要です。

水はけが悪くなる

防水工事を怠ると、雨水の排水が不十分になり、水たまりができたり、水はけが悪化することがあります。

この状態は、建物の耐久性を脅かす可能性がありますので、注意が必要です。

ひび割れ(クラック)の発生

防水工事を怠ると、建物の表面にひび割れ(クラック)が生じることがあります。

これらのひび割れは、放置すると雨漏りに発展するリスクが高まります。早期の発見と補修が必要です。

雨漏りの発生

最も深刻なリスクとして、防水工事が不十分だと防水層の劣化が進み、雨漏りが発生しやすくなります。

雨漏りは建物の内部構造や居住環境に大きな影響を与えるだけでなく、火災や健康被害の原因にもなるため、早急な対応が求められます。

これらのリスクを防ぐためには、定期的なメンテナンスと適切な防水工事の実施が重要です。また、問題が発生した場合には、速やかに専門業者に相談し、適切な対応をすることが安全で快適な住環境を保つために不可欠だといえるでしょう。

まとめ

防水工事には定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス周期については、防水工事の種類や建物の立地環境によっても異なりますが、何もなければ10年から15年周期に、問題が生じている場合には速やかに専門業者へ点検を依頼すると良いでしょう。

また、防水工事には高い知識と技術が必要であるため、優良業者に依頼することも重要です。

水防人では、全国47都道府県の防水職人スペシャリストを紹介しています。防水工事を検討されている方や、優良業者に防水工事を依頼されたい方は、ぜひ水防人へご相談ください。

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