一戸建てのベランダ防水工事の工程や費用相場 | 水防人

防水工事の基礎知識

一戸建てのベランダ防水工事の工程や費用相場

2024/07/25

FRP防水

一戸建てのベランダは、日々の暮らしの中で多くの役割を果たしています。しかし、外部環境に晒されやすいという特性上、定期的な防水工事が欠かせません。

防水工事を行うことで、ベランダの寿命を延ばし、家全体の耐久性を高めることができます。

この記事では、一戸建てのベランダ防水工事の基本的な仕組みから具体的な工事の種類、費用相場についてくわしくご紹介します。これから防水工事を計画している方や、定期的なメンテナンスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

一戸建てのベランダ防水の仕組み

まずは、一戸建てのベランダやバスコニーの防水の仕組みについてご紹介します。

ベランダやバルコニーの床は、下地の上に防水層を作り、その上にトップコートを塗ることで構成されています。また、合成ゴムや塩化ビニール樹脂製の防水シートを貼る方法もあります。

トップコートについて

防水層の上に塗られているトップコートの色は、グレーが使われることが多いですが、他にもベージュや白、グリーンなどさまざまなカラーバリエーションがあります。

トップコートは防水層を紫外線から守る役割を担っており、主に以下に挙げる2種類が使われています。

・ポリエステル系:摩耗消耗に優れているが伸縮性が低い
・ウレタン系:伸縮性が高く、重ね塗りにも向いている

ベランダやバルコニーの防水工事を行うにあたり、劣化がトップコートだけにとどまっており防水層に達していない場合は、比較的簡単な補修やメンテナンスで済むことが多いです。しかし、防水層まで劣化が進んでいる場合は、大規模な修復が必要になります。

劣化が進むと防水層が直接、紫外線や熱の影響を受けやすくなり、耐久性が低下します。そのため、トップコートの定期的な塗り替えは非常に重要です。

トップコートの補修やメンテナンス周期については、環境によっても多少異なりますが、5年を目安にトップコートの塗り替えを行うことをおすすめします。

一戸建てのベランダ防水工事の種類

一戸建てのベランダやバルコニーの防水工事は、劣化している部分の範囲や状況によって工事の種類が異なります。

一般的に行われる、ベランダやバルコニーの防水工事の種類は以下の4つです。

・トップコートの塗り替え
・FRP防水シート
・ウレタン防水
・塩ビシート(シート)防水

それぞれの工法について順番にご紹介します。

トップコートの塗り替え

トップコートは、ベランダやバルコニーの防水層の上に塗られる塗料で、紫外線や熱から防水層を守る役目があります。

トップコート自体には防水性能がないため、定期的なメンテナンスが必要です。トップコートにはポリエステル系とウレタン系の塗料が使われ、どちらも耐用年数は5年が目安です。

ポリエステル系のトップコートは耐摩耗性に優れており、歩行などの摩耗が多い場所に適しています。

一方、ウレタン系のトップコートは伸縮性が高く、下地の動きに柔軟に対応できます。5年ごとに塗り替えを行うことで、防水層を長持ちさせることができ、ベランダやバルコニーの美観も保つことができます。

FRP防水シート

FRP防水シートは、液状のFRP(繊維強化プラスチック)防水剤にガラス繊維の補強材を組み合わせた防水シートを敷き詰めるタイプの防水層です。

この工法の耐用年数は10年から15年と比較的長く、メンテナンス頻度が低くて済むのが特徴です。FRP防水シートは軽量で、1㎡あたり3kgから5kgとベランダへの負担が少なく、衝撃に強いため、耐久性にも優れています。

FRP防水シートは主に戸建ての狭いベランダやマンションのベランダ、ビルの屋上などで使用されます。特に、頻繁に人が行き来する場所や荷物を置く場所には最適です。

ただし、紫外線に弱く、伸縮性が低いという欠点があるため、下地が木材や鉄などのたわみが出る広い場所には適していません。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗ることで防水する工法です。この工法の耐用年数は7年から15年ほどとされています。ウレタン樹脂は乾くと弾力のあるゴム状に固まり、形状が複雑な部分でもつなぎ目が自然で美しい仕上がりになります。

ウレタン防水の最大の特徴は、その柔軟性と適応力です。どのような下地にも対応でき、木材、コンクリート、鉄など、さまざまな素材に適用できます。

しかし、厚みのあるウレタン樹脂を均一に塗るのはむずかしく、施工する職人の技量によって品質に差が出るため、ウレタン防水を希望する場合は、実績と経験が豊富な業者に依頼することが重要です。

また、ウレタン塗料は紫外線に弱いため、トップコートの定期的な塗り替えが必要です。

塩ビシート(シート)防水

塩ビシート防水は、塩化ビニールシートまたは合成ゴムシートを貼る防水層です。この工法の耐用年数は10年から15年ほどで、広い屋上や屋根などで多く利用される工法です。

塩ビシート防水は耐久性や耐摩耗性が高く、最低限の下地処理で施工できる特徴があります。

塩ビシートは、比較的簡単に施工できるため、工期が短く済むことが多いです。また、トップコートが不要な場合もあり、メンテナンスコストを抑えることができます。

ただし、凹凸のある複雑な形状のベランダやバルコニーには適していません。また、経年劣化により硬化することで破断しやすくなる欠点があります。

合成ゴムシートは、伸縮性が高く、下地の膨張や収縮に柔軟に追従することができます。これにより、ひび割れや漏水のリスクを減らすことができます。

ただし、密着工法でしか使用できず、紫外線によって劣化しやすく、シートが薄いため衝撃に弱いデメリットもあります。

このように、塩ビシート防水は一戸建てのベランダやバルコニーよりも、広い屋上や屋根、マンションやアパートなどの集合住宅の共用廊下や階段の防水に適しています。

広い面積を効率的に防水することができ、耐久性にも優れているため、多くの建物で採用されています。

一戸建てのベランダ防水工事の費用相場

cost

ここからは、一戸建てのベランダ防水工事の費用相場についてご紹介します。

トップコートの塗り替え

トップコートの塗り替えは、ベランダ防水工事の中でも基本的かつ重要なメンテナンス作業です。この作業にかかる費用は以下の通りです。

費用相場(1㎡あたり) 工期の目安
2,000円〜3,000円 1日〜2日

トップコートには、ポリエステル系とウレタン系がありますが、ポリエステル系の方が若干高めの価格設定となっています。

ベランダの広さによりますが、トップコートの塗り替えだけであれば、総額で2万円から8万円程度で施工できることが多いです。この工事は、防水層を紫外線や熱から守るために重要ですので、定期的な塗り替えを検討することが推奨されます。

防水層のリフォーム費用

防水層のリフォームが必要な場合、費用は選択する防水工法によって大きく異なります。主要となる防水工法の費用相場と工期の目安は以下の通りです。

防水の種類 費用相場(1㎡あたり) 工期の目安
FRP防水 4,000円~8,000円 1日~2日
ウレタン防水 3,000円~8,000円 3日~7日
塩化ビニールシート防水 3,500円~8,000円 1日~4日
ゴムシート防水 2,500円~7,000円 1日~4日

なお、上記の金額は防水層のリフォームについての費用相場であり、これに加えてトップコートの塗り替え費用が発生します。

その他にかかる費用

ベランダ防水工事を行う際には、トップコートの塗り替えや防水層リフォームの他にも、以下のような追加費用が発生することがあります。

【高圧洗浄費用】

防水工事の前に行う下地処理費用。これにより、古い塗膜や汚れを取り除き、新しい防水層がしっかりと密着するようにします。

【足場設置費用】

工事の安全性と効率を高めるために必要な費用。特に高層部分での作業には欠かせません。

【養生費用】

工事箇所以外を保護するための費用。これにより、周囲の部分を汚さずに作業が進められます。

これらの費用を含めると、10㎡のベランダで総額10万円から15万円ほどかかることが一般的です。ただし、現場の状況や補修箇所の有無によっては、さらに費用がかかる場合もあります。

防水工事の費用は、業者や工事内容によって大きく異なることがあります。そのため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。

一戸建てのベランダ防水工事を依頼できる事業者

続いて、一戸建てのベランダ防水工事を依頼できる事業者について、ご紹介します。

ハウスメーカー

ハウスメーカーは、建物の設計から施工、アフターケアまで一貫して行っているため、防水工事をハウスメーカーに依頼することで、住宅に合った施工が受けられるというメリットがあります。

特に住宅を建てたハウスメーカーに依頼すると、建物の特性を理解しているため、より適切な防水工事が期待できます。

ただし、中間マージンが発生するため工事費用は高めになります。家全体のメンテナンスをハウスメーカーに任せたい方にはおすすめですが、コストを重視する場合は他の事業者に依頼することも検討してみてください。

リフォーム会社

リフォーム会社は、住宅のリフォーム全般を扱い、防水工事も取り扱うことが多いです。他のリフォーム工事と一緒に防水工事を依頼する場合に適しています。

ただし、実際の施工は下請け業者が行うことが多く、ハウスメーカーと同様に中間マージンが発生するため、工事費用が高くなる傾向があります。

防水工事のみを依頼する場合は、他の事業者に依頼した方がコストを抑えられる可能性が高いです。

塗装事業者

塗装業者は、屋根や外壁の塗装を専門に行っており、防水工事に対応している会社も多いです。また、塗装のプロが在籍しているため、防水工事における「塗膜防水」については特に安心して任せることができます。

塗膜防水は、液体状の防水材を塗ることで防水層を作る方法で、塗装スキルが高い業者に依頼すると仕上がりが良くなります。

ただし、塗装業者に依頼する際は、塗膜防水以外の工法にも対応できるかを確認することが重要です。また、定期的な塗装メンテナンスも依頼できるため、長期的な建物の保護に役立ちます。

防水専門事業者

防水工事業者は、防水工事を専門に行う事業者であり、豊富な専門知識と技術を持っています。

屋上やベランダ、地下室などの防水施工に精通しており、最新の防水技術や材料を使用して高品質な施工を提供します。そのため、信頼性が高く、安心して依頼することができます。

しかし、防水工事業者の数は限られており、信頼できる業者を見つけるのがむずかしいこともあります。

防水工事業者を選ぶ際は、過去の施工実績や顧客の評価をよく確認し、信頼性のある業者を選ぶことが大切です。また、防水工事業者はアフターケアにも力を入れているため、施工後のメンテナンスも安心して任せることができます。

一戸建てのベランダ防水工事が必要な6つのサイン

次に、一戸建てのベランダ防水工事が必要と見られる6つのサインをご紹介します。

表面が色あせている

表面の色あせが見られる場合には、トップコートが剥がれているまたは、防水機能が低下している可能性があります。

トップコートには、防水層を紫外線や熱から守る役割があるため、早めにトップコートの塗り替えを検討すると良いでしょう。

コケや藻が落ちにくい

ベランダにコケや藻が発生しており、落ちにくい場合は劣化のサインといえます。

コケや藻は湿気が多い環境で発生する特性があるため、防水機能が低下している可能性があります。

これ以上の進行を防ぐためにも、専門業者に点検および必要に応じたメンテナンスを依頼されると良いでしょう。

ひび割れや剥がれ、めくれ、膨れなどがある

ベランダの表面にひび割れや剥がれ、めくれ、膨れなどが見られる場合は、早急な防水工事は必要です。

このような劣化を放置しておくと、建物内に雨水などが侵入しやすく、建物の構造に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

歩いたときにパタパタと音がする

ベランダを歩いたときにパタパタと音がする場合は、防水層が浮いている可能性があります。

この状態を放置すると雨漏りなどの発生リスクが高くなります。深刻な問題に発展させないためにも、なるべく早めに専門業者に相談されることをおすすめします。

雨のときに水が溜まる、水はけが悪い

ドレン周辺にごみなどが溜まっていないのに、水はけが悪く雨水が溜まるような場合には、防水層が破れている可能性があります。

ベランダの水はけが気になる場合は、まずはドレン周辺のごみなどを取り除き、それでも変わらない場合は、専門業者に相談されると良いでしょう。

雨漏りをしている

雨漏りしている場合は、すでにベランダの防水性が低下している状態です。

防水層だけでなく、場合によっては下地の補修工事など大規模な工事が必要になる可能性があります。

この状態を放置しておくと、建物の構造に深刻なダメージが及びとても危険です。早急に専門業者に相談し、補修工事を行うことをおすすめします。

一戸建てのベランダ防水工事の費用を抑える4つの方法

最後に、一戸建てのベランダやバルコニーの防水工事費用を抑える4つの方法をご紹介します。

劣化症状が軽い段階でメンテナンスを実施する

防水工事に限らず、家のメンテナンスは劣化症状が軽い段階でメンテナンスを実施することが費用を抑えることにつながります。

防水工事では、定期的にトップコートの塗り替えを行うことで防水層の劣化を防ぐことができます。

外壁塗装とベランダ防水工事を同時に行う

外壁塗装とベランダ防水のメンテナンス周期はどちらも約10年ほどです。

どちらの工事にも、足場の設置や養生などの費用が別途発生するため、外壁塗装とベランダ防水工事を同時に行うことで、これらの費用を1回分に抑えることができます。

防水工事専門事業者に依頼する

外壁塗装と時期が合わない場合には、防水工事業者に依頼する方が、費用を抑えられる可能性が高いです。

防水工事業者の多くは自社施工を実施しているため、中間マージンなどが発生しない分、施工費用を抑えることができます。

複数の業者から相見積もりを取る

ベランダ防水の費用を抑えるには、複数の業者から相見積もりを取ることも重要です。

相見積もりを取ることで、最適な工事方法や費用を把握することにつながります。

まとめ

一戸建てのベランダ防水工事は定期的なメンテナンスを実施することで、工事費用を抑えることができます。

メンテナンス周期については、トップコートの塗り替えであれば5年毎、防水工事そのものであれば10年から15年周期に、問題が生じている場合には速やかに専門業者へ点検を依頼すると良いでしょう。

また、防水工事には高い知識と技術が必要であるため、優良業者に依頼することも重要です。

水防人では、全国47都道府県の防水職人スペシャリストを紹介しています。防水工事を検討されている方や、優良業者に防水工事を依頼されたい方は、ぜひ水防人へご相談ください。

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