ベランダ防水のひび割れを放置するとどうなる?
2024/07/25
ベランダ防水のひび割れは、見逃してはいけない問題です。
ベランダ防水のひび割れを放置すると、見た目の問題だけでなく、さらなる劣化を引き起こし、建物全体に悪影響を及ぼすことがあります。
この記事では、ベランダ防水のひび割れの問題点とその対策方法についてくわしくご紹介します。
早期に適切な対処を行うことで、大切な住まいを長持ちさせるためのポイントとして、適切なメンテナンス時期についてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ベランダの床がひび割れる3つの原因
ベランダの床がひび割れる原因として以下の3つが挙げられます。
1.経年劣化によるもの
2.コンクリートの乾燥収縮
3.地震による建物の揺れ
順番にご紹介します。
1.経年劣化によるもの
ベランダの床は、通常、表面からトップコート、防水層、そして下地という順番で構成されています。
ベランダに見られるひび割れの一因は、表面のトップコートが紫外線や気候変動によって劣化することです。
トップコートは防水層を保護する役割を持っており、トップコート自体には防水性はありません。そのため、トップコートにひび割れが生じても、すぐに雨漏りが起こるわけではありません。
しかし、ひび割れを放置すると、その隙間から水分が浸入し、防水層の劣化を早めてしまいます。ひび割れが見つかった場合は、できるだけ早く補修することが重要です。
また、トップコートの耐用年数は一般的に5年といわれていますので、ひび割れが見られない場合でも、定期的にトップコートを塗り直すことが必要です。これにより、ベランダの防水機能を長期間維持することができます。
2.コンクリートの乾燥収縮
コンクリートは、時間が経つにつれて内部の水分が徐々に乾燥することで収縮する性質があります。これは「乾燥収縮」と呼ばれる現象です。
施工の際に水分を多めに混ぜると、コンクリートは扱いやすくなりますが、過剰に水分を加えると問題が生じます。
過剰な水分は、コンクリートが固まった後も長期間にわたって乾燥収縮を続けさせる原因となります。その結果、固まりきった後でも収縮が続き、ひび割れを引き起こしてしまうのです。
乾燥収縮は、施工から数ヶ月以内に発生することが多いですが、状況によっては数年にわたって収縮が続くこともあります。このため、施工時には適切な水分量を守ることが重要です。
コンクリートのひび割れを防ぐためには、施工後の乾燥収縮にも十分な注意を払う必要があります。
3.地震による建物の揺れ
地震の振動や衝撃によって建物が大きく揺れると、ひび割れが発生することがあります。このようなひび割れは表面的なものにとどまらず、建物の内部まで深く至ることが多いため、特に雨漏りなどの問題に直結することが懸念されます。
建物の構造に及ぼす影響も大きく、放置しておくと更なるダメージを引き起こすことがあります。
また、地震以外の要因、例えば建物の歪みによっても、突然ひび割れが発生することがあります。これらのひび割れも放置すると、建物の耐久性を損なう原因となり得るため、早急な対処が求められます。
ベランダ防水のひび割れを放置すると起こり得るリスク
次に、ベランダ防水のひび割れを放置することで起こる可能性があるリスクを3つご紹介します。
トップコートの剥がれ
トップコートに見られるひび割れは、劣化の初期症状として現れるものです。
ひび割れをそのまま放置すると、内部に染み込んだ水分が蒸発する際に表面と塗膜を剥離させ、トップコート全体に剥がれが生じることになります。
この剥離現象は、塗膜の密着力を失わせ、トップコートの広範囲にわたって剥がれを引き起こします。その結果、トップコートは本来の防護機能を果たすことができなくなり、防水層を適切に保護する役割を失います。
そのため、ひび割れを早期に発見し、適切な修繕を行うことが非常に重要です。定期的な点検とメンテナンスによって、トップコートの劣化を未然に防ぎ、長期にわたって建物の耐久性を保つことができます。
防水層の劣化
トップコートが剥がれてしまうと、防水層を保護することができなくなります。その結果、防水層の劣化が急速に進行し始めます。
防水層が直接外部の環境にさらされるため、雨水や湿気が防水層に直接影響を与えるようになります。こうなると、防水層の劣化速度は加速し、ベランダから建物内部に水が染み込むまでに時間がかかることはないでしょう。
建物内部に水が浸入すると、さらなる構造的なダメージやカビの発生など、さまざまな問題が引き起こされる可能性があります。これを防ぐためにも、トップコートの剥がれを早期に発見し、適切な補修を行うことが重要です。
雨漏り・躯体の浸食
防水層が劣化し、建物内に水が侵入すると、さまざまな問題が発生します。
まず、染み込んだ水は菌やカビを発生させ、健康に悪影響を与える可能性があります。さらに、水は柱や梁など建物の躯体部分を腐食させる原因となり、木材が使用されている場合は特に深刻です。
また、鉄筋コンクリートの建物でも、鉄筋部分にサビが発生し、建物の強度を大幅に低下させることがあります。
雨漏りが発生した場合には、建物内部にはすでに大量の水が染み込んでおり、躯体部分に深刻なダメージを与えていることが多いです。これにより、建物の安全性や耐震性が著しく低下し、大掛かりな修繕工事が必要になる場合があります。
適切な防水対策を怠ると、後々の修繕費用や建物の寿命に大きな影響を与えるため、早期のメンテナンスと対策が非常に重要です。
補修が必要な劣化症状
ベランダ防水のひび割れによって起こるリスクを回避するためにも、定期的なメンテナンスは重要です。
しかし、具体的にどのような劣化症状が出たらメンテナンスを行うべきなのか判断がむずかしいという方も多いでしょう。ここからは、ベランダ防水のひび割れの補修が必要な劣化症状をご紹介していきます。
表面のひび割れ・剥がれ・膨らみ
ベランダに塗装されたトップコートの剥がれやひび割れは、経年劣化や紫外線を長期間浴びることで発生します。このダメージはトップコートが傷み、防水層との接着力が弱くなることによって引き起こされます。
小さなひび割れや剥がれから雨水が染み込み始めると、ベランダや屋上の構造が徐々に劣化し始める原因となります。
このような症状を早期に発見し対処することが重要です。特に、ひび割れが見られた場合には、すぐに塗装をし直すことで、防水層の耐久性を保ち、建物全体の寿命を延ばすことができます。
表面の色あせ
ベランダ床の表面が色あせている場合、それは比較的緊急度の低い劣化の初期症状です。しかし、劣化が始まっていることには変わりありません。
そのため、トップコートの塗り直しを検討する時期に差し掛かっているといっても過言ではありません。この段階では、すぐに防水層がダメージを受けるわけではありませんが、時間の経過とともに劣化が進行する可能性があるため、注意が必要です。
色あせは、紫外線や風雨にさらされることで発生することが多く、そのまま放置すると、やがてトップコートの機能が低下し、防水層への影響が懸念されます。
定期的な点検と適切なメンテナンスによって、早期に色あせの問題を対処し、ベランダの美観と機能を維持することが重要です。
チョーキング
チョーキングは白亜化とも呼ばれており、塗料に含まれている顔料がベランダ床の表面に浮き出て、チョークの粉のようになって現れる現象です。
この現象は、気温変化による熱や紫外線、風雨などの影響で塗料が劣化することにより発生するといわれています。触れると手に白い粉が付着し、これがチョーキングの典型的なサインです。
ベランダの床面を触って白い粉が付着する場合、それはトップコートの劣化が進行していることを示しています。この状態になったら、トップコートの塗り替えを検討する時期といえるでしょう。
チョーキングは防水機能の低下を示す前兆であり、早めに対処することで、建物全体の耐久性を維持することができます。放置すると、さらなる劣化を招き、防水層にダメージが及ぶ可能性があるため、定期的な点検と早期のメンテナンスが重要です。
ベランダ防水工事を依頼できる事業者
続いて、ベランダ防水工事を依頼できる事業者をご紹介します。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、建物の設計から施工、アフターケアまで一貫して行っているため、防水工事をハウスメーカーに依頼することで、住宅に合った施工が受けられるというメリットがあります。
特に住宅を建てたハウスメーカーに依頼すると、建物の特性を理解しているため、より適切な防水工事が期待できるでしょう。
ただし、中間マージンが発生するため工事費用は高めになります。家全体のメンテナンスをハウスメーカーに任せたい方にはおすすめですが、ベランダ防水単体の工事でコストを重視する場合は他の事業者に依頼することも検討されると良いでしょう。
リフォーム会社
リフォーム会社は、住宅のリフォーム全般を扱い、防水工事も取り扱うことが多いです。他のリフォーム工事と一緒に防水工事を依頼する場合に適しています。
ただし、実際の施工は下請け業者が行うことが多く、ハウスメーカーと同様に中間マージンが発生するため、工事費用が高くなる傾向があります。
ベランダの防水工事のみを依頼する場合は、他の事業者に依頼した方がコストを抑えられる可能性が高いです。
外壁塗装事業者
塗装業者は、屋根や外壁の塗装を専門に行っており、防水工事に対応している会社も多いです。また、塗装のプロが在籍しているため、防水工事における「塗膜防水」については特に安心して任せることができるでしょう。
塗膜防水は、液体状の防水材を塗ることで防水層を作る方法で、塗装スキルが高い業者に依頼すると仕上がりが良くなります。
ただし、塗装業者に依頼する際は、塗膜防水以外の工法にも対応できるかを確認する必要があります。塗装業者の中には、塗膜防水以外の施工実績が少ない場合があるため、事前に施工実績や技術力を確認することをおすすめします。
防水専門事業者
防水工事業者は防水工事を専門に行う事業者です。防水工事に関する専門知識や技術が豊富であり、屋上やベランダ、地下室などの防水施工に精通しています。
また、防水工事業者は、最新の防水技術や材料を使用して高品質な施工を提供するため、信頼性が高いです。
ただし、防水工事業者は数が限られているため、信頼できる業者を見つけるのがむずしいこともあります。
防水工事業者を選ぶ際は、過去の施工実績や顧客の評価をよく確認し、信頼性のある業者を選ぶことが大切です。
ベランダ防水のひび割れ補修方法
ベランダ防水もひび割れは、症状に合わせた補修を行う必要があります。ここからは、一般的によく行われる代表的な補修方法をご紹介します。
コーキング工事
コーキングにひび割れが見られる際に行われる工事です。
コーキングと呼ばれる目地材をひび割れに埋め込むことで、水の侵入を防ぎます。
トップコート塗装
床の表面にひび割れるが見られる際に行われる工事です。
トップコートを塗り直すことで防水層保護の役割を取り戻し、防水層の劣化を遅らせることができます。
防水層の再形成
ひび割れが表面だけでなく防水層にまで及んでいる場合に行われる工事です。
部分的なひび割れについては、その部分だけ切り取って再形成することも可能です。
ただし、防水層の工事は高い技術が必要となりますので、実績や経験のある専門業者に依頼されることをおすすめします。
ベランダのひび割れ状況別メンテナンス時期
ここからは、ベランダのひび割れ状況から判断するメンテナンス時期をご紹介していきます。
表面のひび割れ
表面のひび割れは、トップコートが劣化している状態です。
一般的にトップコートの耐用年数は5年程度とされているため、5年以上を経過するとひび割れが見られるようになります。
この段階であれば簡単なメンテナンスで済みます。
深くて大きなひび割れ
深くて大きなひび割れがある場合、表面だけでなく防水層まで劣化している可能性が高いです。
そのため、この状態で放置してしまうと雨漏りや躯体部分の腐食が発生する可能性が高くなりますので、早急なメンテナンスの実施が必要だといえるでしょう。
雨漏りが起こっている場合
すでに雨漏りが起こっている場合は、ベランダだけでなくその周辺や内部を含めた調査と早急な対処が必要です。
放置する期間が長くなると、さらに被害は拡大していきますので、被害を最小限に抑えるためにも、早急に専門業者へ相談することをおすすめします。
ベランダ防水のひび割れ補修にかかる目安費用
最後に、ベランダ防水のひび割れ補修にかかる目安となる費用をご紹介します。
コーキング工事
コーキング工事には、既存のシーリングを除去し、新たなシーリング剤を充填する「打ち替え工事」と既存のシーリング剤をそのままにシーリング剤を充填する「打ち増し工事」の2つの方法があります。
それぞれの目安となる費用は以下の通りです。
工法 | 費用(1㎡あたり) |
---|---|
打ち替え工事 | 700円~1,200円 |
打ち増し工事 | 500円~900円 |
トップコート塗装
トップコート塗装の費用は、防水層の種類によって価格が異なります。目安となる費用は以下の通りです。
防水層の種類 | 費用(1㎡あたり) |
---|---|
ウレタン防水 | 約1,500円~2,000円 |
FRP防水 | 約1,800円~2,500円 |
シート防水 | 約1,000円~1,500円 |
防水層の改修工事
防水層の改修工事費用は工法によって異なりますが、どの工法についても大きな差はありません。以下をご覧ください。
工法 | 費用(1㎡あたり) |
---|---|
ウレタン防水 | 約4,000円~7,000円 |
FRP防水 | 約4,000円~7,000円 |
シート防水 | 約4,000円~7,000円 |
上記の他に、高圧洗浄や下地処理・補修、改修用ドレン設置、廃材処分費用、諸経費、足場代などが別途発生します。
まとめ
ベランダ防水のひび割れが見られた場合は、なるべく早い補修を行うことが重要です。
ひび割れた状態を放置すると、さまざまなリスクが発生する可能性が高まるだけでなく、いざ補修を行う際には費用も高額になってしまいます。
水防人では、全国47都道府県の防水職人スペシャリストを紹介しています。ベランダ防水のひび割れが気になる方や、防水工事を検討されている方は、ぜひ水防人へご相談ください。