防水工事をしないとどうなる?そのリスクや必要性を解説
2024/08/22
防水工事は、雨や湿気から建物を守るために欠かせない工事です。しかし、何も対策を講じないままでいると、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
この記事では、防水工事を行わなかった場合にどのようなトラブルが発生するのか、またその対策としてどのような防水工事があるのかをご紹介していきます。
防水工事を検討されている方や、防水工事の必要性にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
防水工事の必要性
防水工事は建物を守るために不可欠です。主な理由として「水による影響」と「劣化の進行とリスク」が挙げられます。
水による建物の影響
水は建物に深刻な損害を与える要因の一つです。木造建築では、柱や梁が腐食し、家の耐久性や強度が低下します。また、壁に含まれる断熱材も水分によって劣化しやすくなります。
コンクリート製の建物では、雨水がコンクリートを腐食させ、鉄骨にサビやカビが発生します。これらの問題は建物の耐久性を著しく低下させ、最終的には倒壊のリスクを高めることになります。
劣化の進行とリスク
経年劣化や雨風によって、ひび割れや雨漏り、腐食などが進行し、建物の寿命を短くするだけでなく、内部の物や生活する人々の安全にも影響を与えます。
特に日本では地震や台風、梅雨、雪などの自然災害が多発するため、これらの劣化を放置すると、更なるダメージを招き、建物の寿命がさらに縮まる可能性があります。
このような問題に対処するためには、防水工事が必要です。専門の業者による外壁塗装やひび割れの補修、防水シートの追加などの総合的な対策が建物の耐久性を高めます。
そのため、防水工事は、建物の寿命を延ばし安全を守るための重要な手段といえるでしょう。
防水工事が必要な場所
建物の寿命を延ばし安全を確保するために必要な防水工事ですが、具体的にどのような場所に必要なのでしょうか。
多くの方がまず思い浮かべるのは屋根かもしれませんが、実は外壁のひび割れからくる雨漏りや水漏れも非常に多い問題です。
例えば、屋内では浴室やキッチン、トイレなど、水回りの場所が特に重要です。これらの場所は常に水と接しているため、定期的な点検と適切な対策が必要です。屋外では、屋根や外壁、ベランダ、バルコニーなどが防水工事の対象となります。
特に屋外の場合は、激しい雨や風、強い太陽の熱にさらされるため、建物の劣化が他の場所よりも早く進行することがあります。したがって、これらの場所は特に注意が必要です。このように、防水が必要な場所は思っている以上に多く、定期的なチェックが欠かせません。
そのため、建物の防水については定期的にセルフチェックを行い、問題がないか確認することが重要です。
防水工事をしないと起こり得る4つのリスク
防水工事を行わないと、以下のような深刻なリスクが生じる可能性があります。建物を守るためには、これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
建物の強度低下
防水工事を怠ると、雨水が建物の内部に侵入し、木材が腐朽したり、金属部材に錆が発生したりすることがあります。
また、コンクリートが水分で中性化し、鉄筋が錆びることもあります。これらの問題が進行すると、建物の強度が著しく低下し、災害時の倒壊リスクが高まります。
防水工事は、こうした内部のダメージを防ぎ、建物の安全性を維持するために欠かせない対策です。
外観・内装の劣化
防水工事を行わないと、雨水が外壁や屋根から内部に侵入し、内装材の腐食や劣化が進行します。さらに、外装材は紫外線や風雨にさらされることで、色褪せやひび割れが発生することがあります。
これにより、建物の美観が損なわれ、修理や塗装のコストが増加します。防水工事を適切に行うことで、外観や内装の劣化を防ぎ、建物の価値を保つことができます。
雨漏りによる家財の破損
雨漏りが発生すると、天井や床が腐食し、家具や家電などの家財にも深刻な損害を与える可能性が高まります。
特に物置や普段使用しない部屋などでの雨漏りは、気づくのが遅れることが多いです。その結果、大切な家財が損傷し、修理や交換に高額な費用がかかることがあります。
防水工事を行うことで、こうした雨漏りによる被害を未然に防ぎ、家財を守ることができます。
健康上のリスクが高まる
雨漏りによってカビが発生すると、アレルギーの症状が悪化する恐れがあります。
カビはぜんそくや蕁麻疹などのアレルゲンとして知られており、見えない部分でカビが繁殖することで、健康リスクが知らず知らずのうちに増加します。
健康的な生活環境を維持するためには、防水工事によって雨漏りを防ぎ、カビの発生を抑えることが重要です。
防水工事の種類
防水工事にはいくつかの種類があります。種類別の特徴を見ていきましょう。
アスファルト防水
アスファルト防水工事は、加熱して溶かしたアスファルトと専用の防水シートを重ねて施工する方法です。最も古くから使われている防水工法で、多くの実績があります。
アスファルト防水工事には、次の3つの方法があります。
【熱工法】
熱工法では、アスファルトを200℃から270℃に加熱し、施工する場所に流し込んでから防水シートを重ねます。この工法は日本で100年以上の歴史があり、非常に信頼性が高いとされています。
アスファルトがすぐに固まるため、施工がスムーズです。しかし、高温でアスファルトを溶かすため、異臭や煙が発生し、近隣に配慮する必要があります。そのため、最近では他の工法が選ばれることが増えています。
【トーチ工法】
トーチ工法は、改良されたアスファルトシートを800℃から1000℃のトーチバーナーで炙りながら施工する方法です。
現在主流になりつつありますが、シートを完全に密着させるには高度な技術が必要です。そのため、経験豊富な業者に依頼することが大切です。
【常温工法】
常温工法は「冷工法」とも呼ばれ、熱を使わずにアスファルトを施工します。
改質アスファルトシートの裏に粘着層をコーディングすることで、熱を使わずに密着させます。煙やにおいが発生しないため、環境に優しいですが、シートを多く重ねる必要があり、防水層の重量が増します。密集した住宅街でよく採用される工法です。
ウレタン防水
ウレタン防水工事は、ポリウレタン樹脂を使用して液状の樹脂を塗り重ね、化学反応で硬化させる工法です。防水層が建物にしっかりと密着します。
ウレタン防水工事には、次の3つの方法があります。
【密着工法】
密着工法は、防水層の状態が良好で雨漏りしていない場合に使われることの多い工法です。
下地と防水層の間にシートを貼らずに直接密着させます。将来的な雨漏りを防ぎたい場合や複雑な形状の部位に適していますが、下地に雨水が含まれていると膨れの原因になることがあります。
【メッシュ工法】
メッシュ工法は、約10年前までは一般的でしたが、最近ではあまり使用されなくなっている工法です。
立ち上がり部分が狭く通気緩衝シートを貼れない場所に、ウレタンメッシュ工法を使用して防水層を強化します。大型マンションなど、立ち上がりの高さがある場所で採用されることが多いです。
【通気緩衝工法】
通気緩衝工法はウレタン防水絶縁工法とも呼ばれており、専門業者だけが提供できる高度な工法です。
通気シートを挟み、脱気筒を設置して防水層内部の蒸気を逃がし、防水シートの膨れを防ぎます。耐久性と伸縮性が高く、凹凸のある場所や複雑な形状の場所に適しています。
シート防水
シート防水工事は、屋上にシートを敷いて雨水や湿気の侵入を防ぐ方法です。施工方法には、「密着工法」と「機械固定工法」の2つがあります。
【密着工法】
密着工法では、塩化ビニール樹脂やゴムで作られたシートを接着剤で貼り付けます。施工が短期間で低コストで済むのが特徴です。
塩化ビニール樹脂シートは紫外線に強く、ゴムシートは収縮性に優れており、地震にも強いです。ただし、ゴムシートは鳥害による穴あきのリスクがあります。通気性がないため、下地の影響を受けることもあります。
【機械固定工法】
機械固定工法では、シート鋼板をドリルで固定し、その上に塩ビシートを接合します。これにより、下地の亀裂や振動の影響を受けにくく、安定した接合面を保ちます。改修工事に適しており、部分的な膨れが心配ありません。
FRP防水
FRP(繊維強化プラスチック)防水工事は、ガラス繊維を混ぜたプラスチック樹脂で作られたシートを使い、木やコンクリートの床に敷いて樹脂を塗り硬化させる工法です。高い水密性を誇り、お風呂や宇宙ロケットなどでも使用されています。
FRP防水工事は固く丈夫な仕上がりとなり、耐荷重性や耐摩擦性にも優れているのが特徴です。軽量であるため、築年数が長い住宅のベランダや荷重に弱い場所にも適しています。ただし、FRPは伸縮性が少ないため、広い面積の木造床面には向いていません。
防水工事のメンテナンス周期
ここからは、防水工事の各工法におけるメンテナンス周期と特徴をご紹介します。以下の表をご覧ください。
防水工法 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
アスファルト防水工事 | 15年~25年 | ・防水層が厚いため、長期間にわたりしっかりと防水効果を発揮します。 ・施工の質が安定しており、信頼性が高いとされています。 ・他の防水工法と比べて費用が高めで、約5,500円~8,000円/㎡となりますが、その分の耐久性と安定性が得られます。 |
ウレタン防水工事 | 8年~10年 | ・施工が比較的簡単で、作業がスムーズに進みます。 ・廃材が出ないため、環境にも配慮されています。・工期が短く、迅速に施工が完了します。 ・費用は標準的で、約4,000円~7,000円/㎡。コストパフォーマンスが良いです。 |
シート防水工事 | 10年~12年 | ・シートが薄いため、損傷しやすい点がありますが、施工が比較的簡単です。 ・工期が短いため、迅速に工事が完了します。 ・費用が比較的安めで、約5,000円~7,000円/㎡。コスト面でのメリットがありますが、耐久性には注意が必要です。 |
FRP防水工事 | 10年~15年 | ・軽量で強靭な素材で、非常に高い耐水性、耐候性、耐食性を誇ります。 ・施工中に臭気が発生するため、適切な換気が必要です。 ・費用は標準的で、約6,000円~8,000円/㎡。耐久性と強度のバランスが良いです。 |
これらの耐用年数は一般的な目安であり、実際のメンテナンス周期は、防水工法や使用する材料、施工の質、そして建物が置かれている環境などによっても異なります。同じ防水工法や材料を用いても、施工業者によって仕上がりや耐久性が異なる場合がありますので、注意が必要です。
さらに、気象条件、温度変化、日光の当たり具合、通行量、使用頻度なども耐用年数に影響を与える要素です。そのため、単に耐用年数を目安にするだけでは不十分なことがあります。気になる点がある場合や不安な点がある場合には、耐用年数に達する前に専門業者による点検を依頼することをおすすめします。
特に目立った問題がない場合でも、上記の耐用年数を参考にして定期的な点検を行うことで建物の寿命を延ばし安全性を確保することができます。
防水工事時期を見極めるタイミング
防水工事が必要なタイミングは以下の通りです。
新築から15年以上経過している
新築から15年以上が経過すると、防水層の寿命が尽き始め、防水機能が低下する可能性があります。水漏れや湿気の問題が発生することがあるため、目立った問題がなくても点検とメンテナンスを検討すると良いでしょう。
前回の改修工事から10年以上経過している
前回の防水工事から10年以上経過すると、防水材が劣化し始めるため、新たな点検と工事が必要です。前回の改修工事を実施した業者に依頼すると、建物の状態を把握しているためスムーズに対応できますが、他の業者でも対応可能です。
雨漏りが発生している
雨漏りが発生している場合は、築年数に関係なく、すぐに防水工事を検討する必要があります。雨水が内部に浸入すると、建物の腐食やカビの発生、電気系統の問題など、深刻な影響が出る可能性があります。速やかに防水健康工事を検討することが重要です。
カビ、汚れ、錆が発生している
カビや汚れ、錆が見られる場合も、防水工事を検討するサインです。これらは水漏れや湿気が原因で発生することが多いため、専門業者に点検を依頼し、適切な対策を講じることをおすすめします。
外壁にひび割れが確認できる
外壁にひび割れがあると、水が内部に侵入し、構造や内装の腐食を引き起こす恐れがあります。ひび割れは外壁塗装の劣化の兆候でもあるため、防水工事と合わせて外壁塗装の検討も必要です。
防水工事を依頼できる事業者
防水工事を依頼できる事業者には、リフォーム会社、ハウスメーカー、塗装業者、防水工事業者があります。
リフォーム会社は住宅のリフォームを専門にしており、防水工事も手掛けていますが、下請け業者に依頼することが多く、コストが高くなる傾向があります。他のリフォームと合わせて依頼するのに適していますが、防水工事のみの依頼にはコストが高い場合があります。
ハウスメーカーは建物の設計から施工まで一貫して行うため、住宅に合った防水工事を受けられるメリットがあります。ただし、施工は下請け業者が担当し、費用が高めになることがあります。家のメンテナンスを一括で任せたい方におすすめですが、コストを抑えたい場合は他の業者を検討するのも良いでしょう。
塗装業者は主に塗装を行う業者ですが、防水工事にも対応している場合があります。特に塗膜防水の技術に優れていますが、他の防水工法にも対応できるかを確認することが重要です。塗装業者は定期的な塗装メンテナンスも提供しており、長期的な保護に役立ちます。
防水工事業者は、防水工事の専門家であり、豊富な知識と高い技術力を持っています。最新の技術や材料を用いて高品質な施工を提供し、屋上やベランダ、地下室などの防水に精通しています。アフターケアも重視しているため、長期的に安心して任せることができるでしょう。
ただし、業者の数が限られているため、信頼できる業者を選ぶのがむずしいこともあります。選ぶ際には、過去の施工実績や顧客の評価を確認し、信頼性の高い業者を選ぶことが大切です。
まとめ
防水工事は建物を保護するために重要です。放置すると、雨漏りや湿気による構造損傷などのリスクが高まります。
防水工事を行うことで、長期的なトラブルを防ぎ、安心して住まいを維持することができるでしょう。
水防人では、全国47都道府県の防水職人スペシャリストを紹介しています。防水工事についてお悩みの方や防水工事を検討されている方は、ぜひ水防人へご相談ください。