防水工事は自分でできる?DIYで防水工事行う際の注意点やメリット、デメリット
2024/08/22
家のメンテナンスにおいて、防水工事は重要な作業の一つです。
一般的にはプロに依頼することが多いですが、実は自分で行うことも可能です。ただし、どのように取り組むべきか、どんな点に注意が必要かを理解しておくことが大切です。
この記事では、防水工事を自分で行う際のポイントをくわしくご紹介します。防水工事を自分で行うメリットやデメリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
防水工事は自分でできる場合もある
防水工事のDIYは、簡易的な方法として可能ですが、注意が必要です。
最近では、ホームセンターでも手軽に防水材料が購入できるようになり、DIYへの挑戦がしやすくなっています。しかし、こうした材料は表面に塗るだけで、防水層が下地にしっかりと密着しないことがあります。このため、塗装後にすぐ剥がれる、ひび割れるといった問題が発生するリスクもあります。
ホームセンターで購入できる防水材は、既存の防水層が綺麗な状態で、ひび割れや浮きなどがない場合に限り効果を発揮します。劣化が進んでいる場所や、既にひび割れや浮きが発生している箇所には適しておらず、こうした場合には防水層を形成する前に、専門的な修復作業が必要です。
DIYによる防水工事が適しているのは、ベランダや小さな範囲など、特定の場所に限られることが多いです。それでも、正しい方法と適切な材料を使用すれば、自分で行う防水工事は可能です。防水工事をDIYで行う際は、事前にしっかりと準備し、必要な知識を身につけた上で取り組むことが大切です。
自分で対応できる防水工事の範囲
自分で防水工事を行うことができる範囲は、比較的簡単でリスクの少ない作業に限定されます。具体的には、以下のような工事が該当します。
【トップコートの塗り直し】
トップコートの塗り直しは、比較的手軽に行える防水工事の一つです。
トップコートは、防水層の最上層に塗布する保護膜で、紫外線や摩耗から防水層を守る役割を果たしています。定期的にトップコートを塗り直すことで、防水層そのものの寿命を延ばすことができます。
基本的な塗装技術があれば、自分でこの作業を行うことは十分に可能です。
【小規模な修繕工事】
屋根や外壁などの小規模な修繕工事も、DIYで対応できる範囲です。
たとえば、小さなひび割れや小さな穴の補修などが該当します。
エポキシ樹脂やコーキング材、シーリング材などを使って補修を行うことで、防水性能を維持しやすくなります。しかし、劣化が進んでいる場合や、症状が高所に現れている場合は、安全面を考慮し、専門業者に依頼する方が安心です。
【屋外の小規模範囲の補修】
ベランダやバルコニーなどの屋外の小規模な範囲での防水工事も、自分で行える範囲に入ります。これらの場所は、一般的に面積が小さく、大規模な屋根や屋上に比べて作業がしやすいです。
また、使用できる材料も多岐にわたり、防水シートや液体防水材など、状況に応じて選択できます。適切な材料を選び、正しい手順を踏むことで、効果的な防水工事を行うことが可能です。
【屋内の防水対策工事】
浴室や洗面所、キッチンなど、屋内の防水工事もDIYで対応可能です。
屋内作業は天候に影響されることがなく、安全性も高いのが特徴です。さらに、コーキング材や防水シートなど、多種多様な材料が利用でき、特別な技術がなくても、適切な手順で行えば効果的な防水工事が可能です。
DIY初心者でも挑戦しやすい範囲ですので、気軽に取り組めるでしょう。
自分では対応が難しい防水工事の範囲
一方で、以下のような防水工事については、自分での対応をおすすめしません。
・大規模な屋根全体の屋上防水工事
・地下室の防水工事
・大規模な外壁防水工事
これらの作業は、範囲が広いため均一に防水することが非常に難しくなります。加えて、作業場所の安全確保が難しいため、事故のリスクが高まります。さらに、気づかないうちに施工ミスが起こると、建物全体に重大な問題を引き起こす可能性もあります。
こうした大規模な工事には、専門的な知識と技術が求められるため、必ず専門業者に依頼することが必要です。DIYでは対応できないリスクを回避し、確実な工事を行うためにも、適切なプロの手を借りることが重要です。
防水工事を自分でやるメリット
小規模な範囲であれば自分で防水工事を行うことも可能です。
DIYで防水工事を行う最大のメリットは、費用と時間の節約にあります。業者に依頼すると、職人の作業費や諸経費がかかり、施工費用が高くなることが一般的です。
しかし、DIYでは自分で作業を行うため、人件費やその他の経費が一切かからず、材料費だけで済ませることができます。これにより、コストを大幅に抑えることができ、特に予算を抑えたいと考えている方にとっては、大きな魅力となるでしょう。
さらに、DIYのもう一つの大きなメリットは、作業スケジュールの柔軟性です。
業者に依頼した場合、工事の日程を調整する必要がありますが、DIYならば自分の都合に合わせて、空いた時間に少しずつ作業を進めることが可能です。このため、忙しい日常生活の中でも無理なく工事を進めることができます。
また、立地条件によっては、施工を行う際に業者が室内や敷地内を頻繁に出入りする必要がある場合もありますが、DIYであればその心配がありません。自分自身が作業を行うため、他人が家の中や敷地内を出入りすることなく、プライバシーを保ちながら工事を進められるという安心感も、DIYの大きな魅力です。
日常生活にほとんど影響を与えずに、防水工事を完了させることができる点も、DIYを選ぶ理由の一つとなるでしょう。
防水工事を自分でやるデメリット
DIYで防水工事を行う際には、多くのデメリットやリスクが伴います。
まず、一般の方が使用できる防水材料は、プロが使用するものに比べて性能が劣ることが多く、期待通りの防水効果を得るのが難しい点が挙げられます。
特に、施工した部分が歩行面となる場合、摩耗によって防水層が早期に剥がれたり、劣化するリスクが高まります。このため、適切な摩耗対策が欠かせませんが、DIYではその対策が不十分になりがちです。
さらに、防水工事自体が非常に専門的な作業であり、「防水施工技能士」という国家資格が存在するほど高度な知識と技術が必要です。
DIYでは、塗料の硬化不良や施工ミスが発生しやすく、これが原因で防水性能が大幅に低下することもあります。特に、建物の構造を十分に理解していないまま施工を進めると、思わぬ場所で雨漏りが発生する可能性もあります。
防水工事の目的は、建物を水から守ることですが、誤った施工によって逆に問題を悪化させてしまうことも少なくありません。
加えて、DIYで防水工事を行う場合、プロによるアフターケアや保証が受けられないという重要な問題があります。
施工保証がある期間にDIYで上からメンテナンスや補修を行ってしまうと、保証が失効してしまうリスクが高く、これにより後から修正を依頼する場合、余計な費用が発生する可能性があります。
また、誤った施工方法を取ってしまった場合、その後の修正作業には既存の防水層をすべて撤去し、新たに防水工事をやり直す必要があり、大きな手間とコストがかかります。
さらに、高所での作業や足場が不安定な場所での施工は、DIYでは危険が伴うこともあり、プロに任せるべき場面も多いです。
これらのリスクを考慮すると、DIYによる防水工事は、費用面ではメリットがあるものの、それ以上にデメリットやリスクが大きいことが分かります。しっかりとした知識や技術がないままに行うと、かえって大きなトラブルを招く恐れがあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
防水工事を自分でやるならウレタン防水がおすすめ
防水工事にはさまざまな工法がありますが、DIYで行う場合にはウレタン防水が特におすすめです。
ウレタン防水は、液状の塗料を塗り重ねることで防水層を作る工法であり、他の工法に比べて施工の難易度が低いのが特徴です。形状に左右されずに作業ができ、FRP防水に比べてコストも抑えられるため、DIYに向いています。
ただし、ウレタン防水は塗料を何度も塗り重ねる必要があり、そのたびに乾燥時間が必要です。また、DIYでは塗りムラが生じやすいことも考慮に入れるべきです。
ウレタン防水には「1液型」と「2液型」の2種類があり、それぞれに特徴があります。
1液型は、缶を開けるだけでそのまま塗布できるシンプルさが魅力です。一方、2液型は主剤と硬化剤を混ぜて使うため、施工の自由度や仕上がりの精度が高まりますが、撹拌の際に分量や混ぜ方を間違えると施工不良のリスクがあります。
DIYでは、1液型を選ぶと良いでしょう。1液型は速乾性がなく、初心者でもゆっくり作業できることから、失敗を防ぐ助けになります。
また、ウレタン防水を選ぶ際には、一液性の材料や、下塗り材、防水塗料、トップコートがセットになった材料を選ぶことをおすすめします。
セットで購入すると、必要な材料が一式揃うだけでなく、各材料の相性も考慮されているため、違うメーカーの材料を組み合わせて使用する際に起こる相性不良を避けられます。ウレタン防水は、下塗り、防水塗料の塗布、そして上塗り(トップコート)の順で行うため、セット材料を選ぶことで、効率的に作業を進めることができます。
防水工事を自分でやる場合に必要な道具
DIYで防水工事を行う際に必要な道具を以下にまとめました。これらの道具はほとんどがホームセンターで手に入るもので、工事の準備や施工に役立ちます。
必要な道具 | 用途 |
---|---|
汚れても良い服 | 防水塗料が服に付くと取れにくいため、作業用に汚れても構わない服を用意しましょう。 |
軍手 | 手を保護し、作業時の滑りを防ぐために使用します。 |
スクレーパー(金属ベラ) | 旧防水層や汚れを剥がす際に役立つツールです。 |
塗装用ローラー | 防水塗料を均等に塗布するために使います。 |
ローラーバケツ | 塗装用ローラーに塗料を含ませるためのバケツです。 |
ハケ | 隅や細かい部分の塗装に使用します。 |
高圧洗浄機 | 施工前に表面をきれいにするための機械で、汚れや塵を取り除くのに役立ちます。 |
ほうき | 作業エリアの掃除や塵を取り除くのに使います。 |
チリトリ | ほうきで掃いたゴミや塵を集めるための道具です。 |
養生テープ | 塗装する部分以外を保護するために使います。 |
養生ビニールシート | 施工エリアを保護するためのシートで、塗料が他の場所に付くのを防ぎます。 |
ウレタン防水塗料 | 実際に防水層を形成するための主要な材料です。 |
さらに、安全のために防毒マスクを用意しておくと安心です。特に塗料の匂いが強い場合や長時間の作業が予想される場合には、必須のアイテムとなります。
これらの道具を揃えておけば、DIYでの防水工事がスムーズに進められるでしょう。
ウレタン防水工事を自分でやる作業工程
ここからは、ウレタン防水工事をDIYする作業工程をご紹介していきます。
下地の清掃・洗浄
ウレタン防水を施工する前には、下地の清掃が重要です。清掃を怠ると防水工事後に膨れや防水性の低下といった問題が発生する可能性があります。
まずは、スクレーパーを使ってこびりついたゴミや汚れを取り除きます。その後、ほうきとちりとりで全体を掃除して、細かい汚れもきれいにします。
次に、高圧洗浄機やデッキブラシを使用して、より細かい汚れをしっかりと落とします。これにより、プライマーが下地にしっかりと定着し、防水層の品質を保つことができます。
下地が清掃されていないと、プライマーがうまく定着せず、防水層の性能が低下することがあります。しっかりとした清掃は、防水工事の品質を高めるために欠かせません。
養生
塗装作業に入る前に、養生を行います。ガムテープ、マスカー、マスキングテープなどを使って、塗装しない部分をしっかりと保護します。
養生は、周囲が汚れるのを防ぐだけでなく、塗装する部分と塗装しない部分の境目を綺麗に仕上げるためにも必要です。
壁や窓を汚れから守り、塗料が付着してしまうのを防ぐことで仕上がりが美しくなるだけでなく、作業後の掃除も簡単になります。
プライマー塗布
ローラーや刷毛を使用して、プライマーを均等に塗布します。
プライマーは接着剤のような役割を果たし、防水層と下地の密着力を高める効果があります。これにより、防水層がしっかりと定着し、はがれのリスクを減少させます。
塗布後は、プライマーを十分に乾燥させる必要があります。一般的には、乾燥時間は3時間から4時間程度ですが、使用する材料によって異なるため、容器に記載されている乾燥時間を必ず守るようにしましょう。
ウレタン塗料塗布
プライマーが乾燥した後は、ウレタン樹脂を使用して防水層を塗布します。
この際、コテやローラーを使って均等に塗装することが重要です。塗布量や厚みの基準は材料によって異なるため、必ず規定の塗膜基準を確認し、塗りムラがないように慎重に作業しましょう。
ウレタン防水層は一般的に2回以上の重ね塗りが推奨されます。厚みが不足すると防水機能が十分に発揮されないためです。1回目の塗布後は乾燥させ、乾燥時間は材料によって異なりますが、通常は12時間から16時間程度です。
乾燥前に次の塗り重ねを行うと、膜がはがれる原因になりますので、乾燥時間をしっかり守ることが大切です。
また、ウレタン塗料の乾燥時間は気温によっても変動するため、特に寒い時期には乾燥が遅くなることに注意が必要です。厚みのムラがないように、スキージやコテで丁寧に塗り重ねることで、耐久性の高い防水層を作ることができます。
トップコート塗布
防水層の施工が完了したら、最後にトップコートを塗布します。
トップコートの主な役割は、防水層を紫外線やその他の外的要因から保護することです。ウレタン塗料は紫外線に弱く、ゴミが付着しやすいため、トップコートの塗り忘れは防水層の劣化を早める原因になります。
トップコートの施工には、プライマーやウレタン塗料と同様に刷毛やローラーを使用します。通常、トップコートは2回塗りが推奨されており、1回目を塗布した後はしっかりと乾燥させる必要があります。乾燥時間は使用する材料によって異なるため、容器に記載された乾燥時間を必ず守りましょう。
まとめ
防水工事はDIYすることも可能ですが、失敗した場合に追加費用が発生するリスクがあります。特に下地に問題がある場合や高所での作業では、専門業者に依頼することで安心と高品質な施工が確保できます。
施工後のトラブルや費用を考慮すると、専門業者に任せる方が安心です。
水防人では、全国47都道府県の防水職人スペシャリストを紹介しています。防水工事を検討されている方は、ぜひ水防人へご相談ください。